電源ユニット(PSU)の選び方 2026年版:ATX 3.1 / PCIe 5.1 12V-2x6 と RTX 5090時代の容量計算
RTX 5090(575W)世代に対応する電源ユニットの選び方を解説。ATX 3.1 / PCIe 5.1 / 12V-2x6コネクタの違い、必要容量の計算式、80 PLUS認証の意味、12VHPWR問題と半挿し対策まで2026年版の判断軸をまとめます。
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結論:RTX 5090(TBP 575W)を載せるなら ATX 3.1 / 1000W / 12V-2x6 ネイティブ / 80 PLUS Gold 以上が2026年の安全ライン。RTX 5080 なら 850W、RTX 5070 Ti なら 750W が目安です。電源は5-10年使う長期パーツなので、必要容量の1.5倍を確保し、コネクタ規格はネイティブ対応のものを選ぶのが鉄則。
電源ユニットは「動けば良い」と思われがちなパーツですが、RTX 50シリーズ時代に入って事情が変わりました。RTX 5090 はTBP 575W、過渡ピーク時には1000Wを超える短時間スパイクが起き、ATX 3.0 以前の電源では保護回路が誤検知して落ちる事例が頻発しています。本記事では、容量計算・規格の違い・認証・コネクタ・メーカー選びまで、買い替え判断に必要な情報を整理します。
まずは2026年の規格マップ
電源規格は世代によって大きく変わってきました。
| 規格 | 制定年 | 主な変更点 | 対応GPU目安 |
|---|---|---|---|
| ATX 2.x | 〜2021 | 旧来の連続出力前提 | GTX 1080世代まで安全 |
| ATX 3.0 | 2022 | 12VHPWR(16ピン)導入、200%過渡ピーク許容 | RTX 4090まで対応(問題あり) |
| ATX 3.1 | 2024 | 12V-2x6 へ更新、コネクタ仕様改良 | RTX 5090 / 5080 完全対応 |
| PCIe 5.0 | 2022 | 12VHPWR コネクタ仕様 | RTX 40シリーズ |
| PCIe 5.1 | 2024 | 12V-2x6 へ更新、H++ 形状 | RTX 50シリーズ |
ATX 3.1 と PCIe 5.1 はセットの規格更新で、コネクタが 12VHPWR から 12V-2x6 へ変わったのが最大のポイントです(後述)。2026年現在で RTX 50シリーズを買うなら ATX 3.1 ネイティブ電源を選ぶのが安全策です。ATX 3.0 でも動作しますが、コネクタ互換性とトランジェント対応に注意点があります。
必要容量の計算式
電源容量の計算は「ピーク負荷時に余裕を持って供給できるか」が基準です。実用ルールは以下です。
必要容量 = (GPU TBP + CPU PBP + その他) × 1.5 〜 2.0
主要GPU・CPU の消費電力
| パーツ | 消費電力(TBP/PBP) |
|---|---|
| RTX 5090 | 575W |
| RTX 5080 | 360W |
| RTX 5070 Ti | 300W |
| RTX 5070 | 250W |
| RTX 5060 Ti | 180W |
| RTX 4090 | 450W |
| RTX 4080 SUPER | 320W |
| Intel Core Ultra 9 285K | PL1 125W / PL2 250W |
| Intel Core Ultra 7 265K | PL1 125W / PL2 250W |
| AMD Ryzen 9 9950X | TDP 170W / PPT 230W |
| AMD Ryzen 7 9800X3D | TDP 120W / PPT 162W |
| その他(マザボ/SSD/ファン) | 50-80W |
容量目安(マージン込み)
| GPU | CPU | 合計負荷 | 推奨電源容量 |
|---|---|---|---|
| RTX 5090(575W) | Core Ultra 9 285K(PL2 250W) | 875W | 1000W〜1200W |
| RTX 5080(360W) | Core Ultra 9 285K(PL2 250W) | 660W | 850W〜1000W |
| RTX 5070 Ti(300W) | Ryzen 9 9950X(PPT 230W) | 580W | 750W〜850W |
| RTX 5070(250W) | Ryzen 7 9800X3D(PPT 162W) | 462W | 650W〜750W |
| RTX 5060 Ti(180W) | Ryzen 5 9600X(PPT 110W) | 350W | 550W〜650W |
「合計負荷の1.5倍」が一般的な目安で、これより小さい電源でも動きますが、コンデンサ寿命やGPUの過渡スパイクで突発落ちのリスクが上がります。
なぜ余裕が必要か:過渡スパイク
RTX 5090 は公称TBP 575Wですが、ミリ秒単位の過渡ピーク(transient spike)では1000Wを超える瞬間出力が観測されています。電源側がこのスパイクを「異常な電力要求」と判定して保護回路(OPP/OCP)を発動すると、PCが急にシャットダウンします。
ATX 3.1 仕様では「100ms 200% 過渡ピーク許容」が定義されており、1000W電源なら2000Wの瞬時負荷まで耐える設計になっています。ATX 2.x 電源は過渡スパイク許容が低いため、容量に余裕があってもRTX 5090で落ちる事例があります。
コネクタの違い:12VHPWR vs 12V-2x6
これは2026年時点で最も誤解が多いポイントです。両者は形状互換で挿せますが、ピン仕様が違います。
| 項目 | 12VHPWR(旧) | 12V-2x6(新) |
|---|---|---|
| 規格名 | PCIe 5.0 | PCIe 5.1 |
| 採用ATX | ATX 3.0 | ATX 3.1 |
| ピン数 | 16(12+4 sense) | 16(12+4 sense、形状改良) |
| Senseピン | 標準 | 短縮 + 凹み深さ調整 |
| 半挿し時 | 通電 → 焼損リスク | Senseピンが届かず通電しない安全機構 |
| 定格 | 600W | 600W |
12VHPWR 焼損問題とは
2022-2024年に RTX 4090 + 12VHPWR コネクタで「焼損」事例が複数報告されました。原因は複合的ですが、主因は 半挿し(コネクタが完全に奥まで刺さっていない状態) で通電し、接触抵抗の増加 → 局所発熱 → 樹脂溶融という流れです。
12V-2x6 では Senseピン(挿し込み検知用の4本)の長さと深さを変更し、完全に奥まで刺さらない限り12Vが通電しない仕組みに改良されました。これが PCIe 5.1 / ATX 3.1 の最大の安全性改善です。
ただし依然として「奥まで刺す」習慣は必須で、ロック機構をパチンと感じるまで押し込み、ケーブルを直角に曲げるストレスをコネクタから10cm離す配線が推奨されます。
旧電源(ATX 3.0)の延命策
ATX 3.0 + 12VHPWR の電源でも RTX 50シリーズは動きます。ただし以下に注意してください。
- ピン形状は同じなので物理的に挿せる
- 半挿し検知の安全機構はない → 確実に奥まで刺す
- 過渡スパイク対応はATX 3.0仕様で十分(200%許容)
- ケーブルが古い場合、12VHPWR ネイティブケーブルかGPU付属の変換アダプタを使う
「電源を新調するタイミングなら 12V-2x6 ネイティブの ATX 3.1」「既存のATX 3.0が健康なら継続使用可」が現実的な判断です。
80 PLUS 認証で何が変わるか
80 PLUS は「電源効率」の認証で、変換ロス(熱として消える分)を表します。
| 認証 | 20%負荷 | 50%負荷 | 100%負荷 | 1000W時の年間電気代差(50%負荷・8時間/日)※ |
|---|---|---|---|---|
| Standard | 80% | 80% | 80% | 基準 |
| Bronze | 82% | 85% | 82% | -3,500円 |
| Silver | 85% | 88% | 85% | -5,300円 |
| Gold | 87% | 90% | 87% | -7,200円 |
| Platinum | 90% | 92% | 89% | -8,500円 |
| Titanium | 92% | 94% | 90% | -10,000円 |
※ 電気代31円/kWhで概算。実使用条件で差は変わります。
認証選びの実用判断
- 〜600W電源:Bronze で十分(コスパ重視)
- 750W-1000W電源:Gold が現実解(価格と効率のスイートスポット)
- 1000W以上電源:Platinum 以上を推奨(発熱・寿命の観点で)
- 24/7稼働(ファイルサーバ・マイニング・AIサーバ):Titanium を検討
Cybenetics(欧州の独立認証機関)の認証も最近増えており、80 PLUS より厳しい実測ベースの効率評価とノイズレベル評価を出しています。Cybenetics Lambda(静音性)が A+ 以上だとファン音が体感で気にならないレベルです。
メーカー別の信頼性メモ(2026年5月時点)
| メーカー | 強み | 主な系統 |
|---|---|---|
| Seasonic | 設計の堅実さ、保証10-12年、フルモジュラー | PRIME / FOCUS / VERTEX |
| Corsair | 国内流通量・サポート体制、iCUE連動 | RM / HX / AX |
| Super Flower | コスパと品質のバランス、OEM元として多くの電源に供給 | Leadex VII |
| FSP | 業務向けからゲーミングまでの幅、価格控えめ | Dagger / Hydro / Hyper |
| Thermaltake | 価格訴求モデルが多い、上位はOEM品 | Toughpower / PFシリーズ |
| ASUS | ROG / TUF ブランドで高品質、ROG Thor で OLED 表示付き | ROG Thor / TUF Gaming |
初めての自作なら Seasonic FOCUS GX 系 or Corsair RM 系が無難な選択です。両者とも保証10年で、12V-2x6 ネイティブモデルが揃っており、フルモジュラー(必要なケーブルだけ接続できる)です。
物理サイズと配線の現実
電源の物理仕様もケース選びと密接に関わります。
| 規格 | 寸法(W×H×D mm) | 主な用途 |
|---|---|---|
| ATX(標準) | 150×86×140〜180 | ミドルタワー以上 |
| SFX | 125×63.5×100 | Mini-ITX / Mini-Tower |
| SFX-L | 125×63.5×130 | Mini-ITX(SFXより容量大) |
| ATX12VO | 150×86×140 | 新世代省電力PC(普及途上) |
1000W以上のATX電源は奥行きが180mmまで伸びるモデルがあり、Define 7 Compact のような中型ケースでは電源スペースを圧迫します。購入前にケースの電源最大奥行きを確認してください。
ケーブル長と裏配線
最近のフルモジュラー電源は付属ケーブル長が600-700mmで、フルタワーや裏配線が深いケースだと届かないことがあります。マザーボード24ピンとEPS 8ピン × 2、12V-2x6 のケーブルが長いものを選ぶか、延長ケーブルを別途準備します。
「結局どれ買えばいいか」フローチャート
- RTX 5090構成 → 1000W〜1200W ATX 3.1 / 80 PLUS Platinum(Seasonic VERTEX 1200 GX、Corsair HX1000i ATX 3.1)
- RTX 5080構成 → 850W〜1000W ATX 3.1 / 80 PLUS Gold(Seasonic FOCUS GX-850 ATX 3.1)
- RTX 5070 Ti構成 → 750W〜850W ATX 3.1 / 80 PLUS Gold(Corsair RM850e ATX 3.1)
- RTX 5070構成 → 650W〜750W ATX 3.1 / 80 PLUS Gold(FSP Dagger Pro / Hydro 系)
- Mini-ITX 構成 → SFX-L 750W ATX 3.1(Corsair SF750 ATX 3.1)
- 既存ATX 3.0電源を延命 → 半挿し対策と過渡スパイク許容(200%以上)を確認
電源は5-10年使う長期パーツで、ここをケチると数年後に電源由来の不調(再起動・突発落ち・電解コンデンサ膨張)で泣くことになります。初手で容量・規格・認証の3点に投資するのが結果的に安く済みます。
まとめ:電源は「GPU決まったらすぐ決める」
- 容量計算:(GPU TBP + CPU PBP + その他) × 1.5 が目安
- 規格:RTX 50シリーズなら ATX 3.1 / 12V-2x6 ネイティブ
- コネクタ:12V-2x6 で半挿し対策、それでも「奥まで刺す」習慣は必須
- 認証:750W以上はGold、1000W以上はPlatinum 推奨
- メーカー:Seasonic / Corsair / Super Flower / FSP が無難
GPUとCPUを決めた瞬間に電源の必要容量は確定します。「予算が余ったら良いやつ買う」順ではなく、最初に容量と規格を決めてから残りの予算配分を考えてください。GPU比較は「RTX 5090 vs RTX 4090 vs RTX PRO 6000:AI開発向け選び方」、自作の他パーツ選定は「マザーボードチップセットの選び方 2026年版」「BTO vs 自作PC 2026年版」も参照してください。
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