配信向けPC構成ガイド 2026年版:シングルPC・デュアルPC・NVENC AV1 で選ぶ判断軸
ライブ配信向けPCの選び方を2026年最新事情で整理。シングルPC・デュアルPC構成の境目、OBS + NVENC AV1 / HEVC の使い分け、CPU/GPU/メモリ要件、配信解像度別の推奨構成、Twitch Enhanced Broadcasting の前提を踏まえた判断軸を解説します。
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結論:1080p60 配信までならシングルPC + RTX 4060/5070 + NVENC で十分。1440p60 や 4K 配信、複数プラットフォーム同時配信に踏み込むなら 2026 年は AV1 対応の RTX 40/50 世代が前提。デュアルPC が必要になるのは「ゲームを4K最高画質で回しつつ高ビットレート配信もしたい」一握りの構成だけです。
「配信用PC = とにかく高スペック」と思って買うと、ほぼ確実にオーバースペックになります。Twitch は依然として 6,000 kbps の H.264 が標準で、Enhanced Broadcasting に入っても 1080p60 は 8 Mbps が上限。この帯域に合わせて構成を決めるのが最短のコストカットです。本記事ではシングルPC とデュアルPC の境目、NVENC 世代別の使い分け、配信解像度別の必要スペックを 2026 年 5 月時点の前提で整理します。
配信PC の必要スペックは「配信先 × 解像度 × ゲーム負荷」で決まる
配信PC は単純にゲーミングPC を強くすれば良いわけではなく、3 つの軸で必要スペックが決まります。
- 配信先プラットフォーム:Twitch / YouTube Live / X(旧 Twitter) Live でビットレート上限と対応コーデックが違う
- 配信解像度・fps:1080p60 / 1440p60 / 4K30 で必要 GPU エンコーダ世代が変わる
- ゲーム負荷:競技 FPS なら CPU/GPU 負荷は軽い、AAA 4K なら GPU が同時に枯渇する
ゲーミングPC の選び方そのものは別記事「ゲーミングPC 選び方ガイド 2026年版(FPS / MMO / 配信)」で扱っているので、本記事は配信特化の判断軸に絞ります。
配信プラットフォーム別のビットレート上限(2026 年 5 月時点)
| プラットフォーム | 標準ビットレート上限 | Enhanced / 最大 | 対応コーデック |
|---|---|---|---|
| Twitch(標準) | 6,000 kbps | - | H.264 のみ |
| Twitch(Enhanced Broadcasting Beta) | 6,000 kbps | 〜10 Mbps(4K60) | H.264 / HEVC / AV1 |
| YouTube Live | 9,000 kbps(1080p60) | 〜51 Mbps(4K60) | H.264 / HEVC / AV1 |
| X(旧 Twitter) Live | 6,000 kbps | - | H.264 のみ |
Twitch の Enhanced Broadcasting は GeForce RTX 40 シリーズ以降または Radeon RX 7000 シリーズ以降が必要で、AV1 を使えば従来の H.264 比で 40% 効率が良くなります。「Twitch でしか配信しない」なら H.264 + 6,000 kbps で頭打ちなので、極端なオーバースペックは不要です。
YouTube Live は最初から高ビットレートを許容しているので、4K60 配信を視野に入れるなら YouTube が主戦場になります。
NVENC 世代別の対応コーデック(GeForce)
GPU のエンコーダ世代が配信品質を左右します。
| GPU 世代 | H.264 | HEVC | AV1 エンコード | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| RTX 20(Turing) | ◯ | ◯ | ✗ | 配信限定なら今でも実用 |
| RTX 30(Ampere) | ◯ | ◯ | ✗ | HEVC で 1440p まで現実的 |
| RTX 40(Ada Lovelace) | ◯ | ◯ | ◯(シングル) | Twitch Enhanced 対応 |
| RTX 50(Blackwell) | ◯ | ◯ | ◯(マルチストリーム) | 複数プラットフォーム同時配信向き |
RTX 30 までは AV1 エンコードができないため、Twitch Enhanced Broadcasting や YouTube AV1 配信を視野に入れるなら RTX 40 以降が事実上のラインです。RTX 50(Blackwell)はマルチストリーム AV1 エンコードが可能で、同じ GPU で Twitch + YouTube + X 同時配信といった使い方ができます。
GPU 単体の評価ではなく、エンコーダ世代込みで判断するのが配信用途の特徴です。
配信解像度別の推奨構成(2026 年 5 月時点)
| 配信形態 | 配信解像度 | 推奨 GPU | 推奨 CPU | メモリ | 予算目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| 雑談・顔出し配信(低負荷) | 1080p30 | RTX 4060 / 5060 | Ryzen 5 9600X / Core i5-14600K | 16GB | 15〜20 万円 |
| ゲーム実況(競技 FPS) | 1080p60 | RTX 4060 Ti / 5070 | Ryzen 7 9700X | 32GB | 22〜28 万円 |
| ゲーム実況(1440p60) | 1440p60 | RTX 5070 Ti / 5080 | Ryzen 7 9700X / 9800X3D | 32GB | 30〜38 万円 |
| AAA + 4K 配信 | 4K30 / 4K60 | RTX 5080 / 5090 | Ryzen 9 9900X / Core Ultra 9 | 32〜64GB | 45〜65 万円 |
| 複数プラットフォーム同時配信 | 1080p60 × 3 | RTX 5070 Ti 以上(Blackwell) | Ryzen 7 9800X3D 以上 | 32GB | 32〜45 万円 |
基本的には GPU の NVENC エンコーダがエンコード負荷を引き受けるので、CPU は「ゲームを動かせるレベル」を確保すれば十分です。OBS の x264 software encoding にこだわらないなら、配信のために CPU をワンランク上げる必要はありません。
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シングルPC vs デュアルPC の境目
「配信するならデュアルPC」と昔は言われていましたが、2026 年は前提が変わっています。
シングルPC で済む条件
- ゲーム描画と配信エンコードを 1 台で完結
- GPU は配信エンコードに NVENC を使う(CPU は配信に使わない)
- ゲームが 1440p 以下、または 4K でも fps 上限が 60〜120 で頭打ちでも構わない
NVENC は 2026 年時点で GPU 内の専用ハードウェアエンコーダなので、CUDA コアやレイトレ性能とは独立して動きます。つまり「RTX 5070 で 1440p ゲームを 120fps で動かしながら、NVENC で AV1 配信」が同一 GPU で成立します。
シングルPC で組めば総予算 25〜35 万円で完結し、机回りもケーブルがすっきりします。Phase 0 で配信を始めるなら、まずシングルPC から入るのが現実解です。
デュアルPC が必要になる条件
- ゲーム側を 4K 最高画質 + 144Hz 級で回したい
- 配信側で x264 software encoding を品質優先で使いたい
- ゲーム配信中にゲーム側のフレーム落ちが絶対に許せない(eスポーツ大会出場など)
デュアルPC では「ゲーミングPC(RTX 5090 + Ryzen 9 9950X3D)」+「配信PC(Ryzen 5 9600X + RTX 4060 で NVENC 専用機)」のように分けます。ゲーム画面はキャプチャボード(Elgato 4K X など)で配信PC に送ります。
総予算は 60〜80 万円規模になり、机のスペース・電源・ケーブル取り回し・キャプチャボード設定など要求も増えます。「シングルPC で困ったら」初めて検討する構成です。
CPU 選び:配信のために 16 コアにしなくていい
NVENC を使うなら CPU は配信エンコードを担当しません。OBS は CPU 側でシーン構成・合成・オーディオミキシングを処理しますが、これらは Ryzen 7 9700X / Core Ultra 7 265 クラスで十分余裕があります。
「配信するなら 16 コア」は x264 software encoding を前提とした古い助言で、2026 年に NVENC AV1 を使う構成では Ryzen 7 / Core i7 で過不足ありません。X3D シリーズ(Ryzen 7 9800X3D / 7800X3D)は競技 FPS で fps が伸びるので、ゲーム + 配信を両立するなら X3D が有利です。
Intel と AMD の選択は別記事「Intel Core Ultra 200(Arrow Lake) vs AMD Ryzen 9000(Zen 5) 2026年版」で比較しています。配信用途では発熱と消費電力の観点で Ryzen 9000 が組みやすい印象です。
メモリ:32GB がほぼ前提
OBS 単体は 1〜2GB しか食いませんが、配信時は次のものが同時に動きます。
- ゲーム本体(AAA で 8〜16GB)
- OBS(シーン・素材合成で 2〜4GB)
- Chrome タブ(配信管理画面、コメントツール、Discord で合計 4〜6GB)
- 配信ソフト周辺(VTuber 系トラッキング、配信演出系)
16GB だと AAA + OBS + Chrome の組み合わせでスワップが発生し、配信中の急な遅延の原因になります。配信PC は 32GB から組むのが安全ラインで、VTuber や 3D アバター系を扱うなら 64GB も視野に入ります。
DDR5 5600〜6000 が 2026 年の標準で、メモリの世代別比較は別記事「DDR5-6000 / 7200 / 8000 はゲーミング・AI用途で差が出るのか 2026年版」で扱っています。
ストレージとネットワーク
配信中のキャプチャ録画(ローカル保存)を併用するなら NVMe Gen4 1TB は最低ライン、2TB が安全です。AV1 4K60 でローカル録画すると 1 時間あたり 20〜30GB 程度になります。
ネットワークは上り回線が問題になりやすく、AV1 4K60 でも実効 15〜30 Mbps の上り安定が必要です。光回線 1Gbps 契約でも上りが 50 Mbps しか出ない環境はあるので、契約スペックではなく実測の上り帯域で判断します。
配信向け推奨構成 3 パターン
パターン A:シングルPC・1080p60(雑談 + ゲーム実況の主流帯)
- GPU:RTX 4060 Ti(8GB) / RTX 5070(12GB)
- CPU:Ryzen 7 9700X
- メモリ:32GB DDR5-6000
- ストレージ:NVMe Gen4 1TB
- 電源:750W 80+ Gold
- 予算:22〜28 万円
NVENC AV1 で Twitch Enhanced Broadcasting に対応しつつ、競技 FPS や中量級 AAA を 1080p で配信できます。配信を始めて最初の 1 年を回す構成として現実解です。
パターン B:シングルPC・1440p60(配信品質を上げる中堅帯)
- GPU:RTX 5070 Ti(16GB) / RTX 5080(16GB)
- CPU:Ryzen 7 9800X3D
- メモリ:32GB DDR5-6000
- ストレージ:NVMe Gen4 2TB
- 電源:850W 80+ Gold
- 予算:30〜38 万円
1440p60 AV1 配信 + 競技 FPS 240fps プレイを両立できる中堅構成です。Twitch Enhanced Broadcasting の 1440p HEVC 配信や、YouTube Live の 1440p AV1 配信が安定して回せます。
パターン C:デュアルPC(配信専業向け)
- ゲーミングPC:RTX 5090 + Ryzen 9 9950X3D + 64GB
- 配信PC:RTX 4060 + Ryzen 5 9600X + 16GB
- キャプチャボード:Elgato 4K X(HDMI 2.1)
- 予算:60〜80 万円
ゲーム側を完全に独立させ、配信側で x264 software encoding や Elgato Camera Hub によるシーン演出を回せます。配信専業・配信収益が月数十万円規模に達してから検討する構成です。
よくある誤解の整理
- 「配信するなら Threadripper」:NVENC を使うなら不要。x264 medium 以上を完全な画質優先で回すマニア用途のみ
- 「配信するなら 64GB」:VTuber 3D トラッキングや動画編集を兼ねるなら検討、純粋な配信単体なら 32GB で過不足なし
- 「RTX 5090 にしないと配信できない」:1080p / 1440p 配信なら RTX 5070 で十分。5090 はゲーム側 4K 最高画質を狙う場合の選択
- 「デュアルPC が王道」:2026 年は NVENC AV1 の進化でシングルPC で完結する範囲が広がった。デュアルPC は配信専業の選択肢
まとめ:迷ったら
- これから配信を始める → RTX 5070 + Ryzen 7 9700X + 32GB のシングルPC
- 配信品質を 1440p に引き上げたい → RTX 5070 Ti / 5080 + 9800X3D
- 複数プラットフォーム同時配信したい → RTX 50 世代(Blackwell マルチエンコード)
- 4K 最高画質ゲームと高品質配信を両立したい → デュアルPC
配信PC は「ゲーミングPC + NVENC が乗ったGPU」で大半が成立します。デュアルPC や Threadripper クラスは「困ってから足す」発想で十分で、最初からそこを狙うとほぼ確実にオーバースペックです。
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