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ローカル動画生成 GPU別 VRAM ベンチマーク 2026年版:Wan 2.2 / HunyuanVideo / LTX Video を RTX 5090 / 4090 / Apple Silicon で測る

ローカル動画生成 OSS の Wan 2.2 / HunyuanVideo / LTX Video について、必要 VRAM と生成速度を GPU 別に比較。RTX 5090 32GB / RTX 4090 24GB / Apple Silicon Unified Memory で 720p / 1080p がどこまで動くか、量子化でどう変わるかを実測ベースで整理します。

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ローカル動画生成 GPU別 VRAM ベンチマーク 2026:Wan 2.2 / HunyuanVideo / LTX Video の VRAM 要件と生成速度

結論:2026 年のローカル動画生成は VRAM 容量で動かせるモデルが決まります。Wan 2.2 14B は H100 級 NVL 80GB が前提、新しい 5B TI2V 版は RTX 5090 32GB で動作可能。HunyuanVideo は FP8 量子化 + tiling で 8GB まで圧縮可能だが品質低下あり。LTX Video は FP8 量子化で 12〜24GB が実用ライン。Apple Silicon M3 Ultra 192GB は容量で有利だが、MPS バックエンド対応が限定的で速度面では NVIDIA に劣ります。

「ローカルで動画生成を試したいが、どの GPU で何が動くのか」という質問が、Wan 2.2 / HunyuanVideo / LTX Video の 3 大 OSS が出揃った 2026 年に入って急増しました。本記事では、各モデルの VRAM 要件・生成時間・量子化での圧縮可否を、RTX 5090 / 4090 / 3090 / Apple Silicon M シリーズで横並びに整理します。

2026 年のローカル動画生成 OSS:3 大モデルの位置関係

2026 年 5 月時点で、コミュニティで実用的に使われているローカル動画生成 OSS は 3 つに集約されます。

モデル開発元公開時期パラメータ数主な強み
Wan 2.2Alibaba2026 年初頭(Wan 2.1 後継)14B / 5B高品質、Wan 2.1 比で動きの自然さ向上、5B 軽量版は consumer GPU 対応
HunyuanVideoTencent2024 年末公開、2026 年に大型更新13B細部表現に強い、FP8 量子化で 8GB まで圧縮可能
LTX VideoLightricks2025 年中盤公開2B生成速度が速い、リアルタイム寄りの軽量設計

3 モデルとも Text-to-Video(T2V)Image-to-Video(I2V) の両モードを持ち、解像度は 480p / 720p / 1080p、長さは 2〜10 秒程度のクリップ生成が中心です。Stable Diffusion 系の画像生成と異なり、1 枚あたり数分〜十数分 の生成時間がかかる点が、動画生成の特徴です。

画像生成側のベンチマークは「Stable Diffusion XL / Flux.1 画像生成速度 GPU別ベンチマーク 2026年版」で扱っています。動画生成は画像生成と比べて VRAM 要件が 3〜10 倍 に増えるため、GPU 選定の前提が大きく変わります。

ベンチマークの前提条件

数値の比較には条件を揃える必要があります。本記事の参照シナリオは以下です。

項目Wan 2.2 シナリオHunyuanVideo シナリオLTX Video シナリオ
バージョン14B / 5B TI2V(2026 年版)13B(FP16 / FP8)2B(FP16 / FP8)
解像度720p(1280×720)720p(1280×720)720p(1280×720)
フレーム数5 秒(120 フレーム @ 24fps)5 秒(120 フレーム @ 24fps)5 秒(120 フレーム @ 24fps)
サンプラーDPM++ / UniPCDPM++LTX 専用
推論ステップ30〜5030〜5020〜30
計測対象end-to-end(モデルロード後の 1 クリップ生成)同左同左
環境Ubuntu 22.04 + ComfyUI / Diffusers同左同左

数値は ComfyUI コミュニティ Discussions、Hugging Face の各モデルカード、Reddit r/StableDiffusion、複数の二次情報を集約した中央値ベースです。新しい最適化(Sage Attention、TensorRT、torch.compile)の有無で 20〜40% は変動します。

Wan 2.2:14B は H100 級、5B TI2V で RTX 5090 が射程に

Wan 2.2 は Alibaba が 2026 年初頭に公開した動画生成モデルで、Wan 2.1 の後継です。14B フルモデルと、consumer GPU 向けに軽量化された 5B TI2V(Text-Image-to-Video)版 の 2 系統があります。

Wan 2.2 14B(FP16)

GPUVRAM1 クリップ生成時間(720p 5秒)状態
NVIDIA H100 NVL94GB HBM3約 4〜5 分
NVIDIA H100 PCIe80GB HBM3約 5〜6 分
RTX PRO 6000 Blackwell96GB GDDR7約 5〜7 分
RTX 509032GB GDDR7OOM(動作不可)×
RTX 409024GB GDDR6XOOM(動作不可)×

Wan 2.2 14B はモデル単体で約 28GB(FP16)、推論時のアクティベーション + KV キャッシュを含めると 65〜80GB VRAM が必要で、コンシューマ GPU では動作不可です。本格運用は H100 級か RTX PRO 6000 Blackwell が必要になります。

Wan 2.2 5B TI2V(consumer GPU 向け軽量版)

GPUVRAM1 クリップ生成時間量子化
RTX 509032GB GDDR7約 3〜4 分FP16
RTX 409024GB GDDR6X約 6〜8 分FP16 / FP8
RTX 508016GB GDDR7約 10〜12 分FP8 必須
RTX 309024GB GDDR6X約 12〜15 分FP16 / FP8
RTX 408016GB GDDR6X約 12〜14 分FP8 必須

5B TI2V 版は RTX 5090 32GB なら FP16 で快適に動き、Blackwell 世代の FP4 / FP8 サポートで 4090 比 2 倍前後の速度差が出ます。ローカル動画生成を試したい初学者にとっての入口 が、Wan 2.2 5B + RTX 5090(または RTX 4090 + FP8 量子化)というラインです。

HunyuanVideo:FP8 量子化 + tiling で 8GB まで圧縮可能

HunyuanVideo は Tencent が 2024 年末に公開した 13B モデルで、2026 年に大型更新が入りました。FP8 量子化 + tiling(画像を小領域に分割して処理) で、極端な省 VRAM 設定が可能になったのが特徴です。

HunyuanVideo 13B 各精度別の VRAM と速度

設定VRAM(必要量)1 クリップ生成時間(720p 5秒、RTX 4090)品質
FP16(フル精度)47〜58GB動作不可(RTX 4090 で OOM)最高
FP8(量子化のみ)24〜28GB約 8〜10 分(RTX 4090)ほぼ FP16 と同等
FP8 + tiling(分割処理)12〜14GB約 12〜15 分(RTX 4090)やや低下、エッジに継ぎ目
FP8 + tiling + offload約 8GB約 20〜30 分(RTX 4090)大幅低下

GPU 別の HunyuanVideo 実用速度(FP8、720p 5秒)

GPUVRAM1 クリップ生成時間推奨設定
RTX 509032GB GDDR7約 4〜5 分FP8、tiling 不要
RTX 409024GB GDDR6X約 8〜10 分FP8、tiling 不要
RTX 508016GB GDDR7約 12〜15 分FP8 + tiling 必須
RTX 309024GB GDDR6X約 15〜18 分FP8、tiling 不要
RTX 408016GB GDDR6X約 14〜17 分FP8 + tiling 必須
RTX 5070 Ti16GB GDDR7約 18〜22 分FP8 + tiling 必須
RTX 507012GB GDDR7約 30〜40 分FP8 + tiling + offload

HunyuanVideo の特徴は 「動かす最低ライン」が低い ことです。RTX 5070 12GB のような中位 GPU でも、tiling + offload を使えば一応動きます。ただし生成時間が 30 分超になるため、実用性は限定的です。実用的に回せる最低ライン は、RTX 4090 か RTX 5090(または同等の VRAM を持つ Blackwell 世代)です。

LTX Video:速度重視の軽量モデル

LTX Video は Lightricks が 2025 年に公開した 2B パラメータの動画生成モデルで、生成速度の速さ が最大の特徴です。Wan 2.2 / HunyuanVideo が「数分〜十数分かかる」モデルなのに対し、LTX Video は同じ条件で 1〜3 分台での生成が可能です。

LTX Video 2B(FP16)

GPUVRAM1 クリップ生成時間(720p 5秒)
RTX 509032GB GDDR7約 60〜90 秒
RTX 409024GB GDDR6X約 90〜120 秒
RTX 508016GB GDDR7約 120〜150 秒
RTX 309024GB GDDR6X約 150〜180 秒
RTX 408016GB GDDR6X約 150〜180 秒
RTX 5070 Ti16GB GDDR7約 180〜210 秒
RTX 507012GB GDDR7約 200〜240 秒(FP8 必須)

LTX Video の公式推奨は VRAM 32GB+、最低 12GB と公表されています。FP8 量子化を使えば 12GB の RTX 5070 / 4070 SUPER でも 720p が動きますが、品質はやや低下します。「とにかく速く動画を生成したい」「ループ素材を量産したい」 という用途では、LTX Video が第一候補になります。

Apple Silicon:容量は有利、速度は不利

Apple Silicon の Unified Memory は 96 〜 512GB という容量で、Wan 2.2 14B や HunyuanVideo FP16 がメモリ上には載ります。ただし、MPS(Metal Performance Shaders)バックエンドの対応状況 が動画生成モデルでは限定的で、速度面では NVIDIA に大きく劣ります。

MacUnified MemoryWan 2.2 14BHunyuanVideo FP8LTX Video
MacBook Pro M4 Max36〜128GB△ MPS 対応次第、5〜8 倍時間△ FP8 量子化未対応のことが多い○ 公式サポートあり
Mac Studio M3 Ultra96〜512GB○ メモリは載る、速度は H100 の 1/10 程度△ 同上○ 公式サポートあり

Apple Silicon は 「メモリは載るが計算が遅い」 という特徴があり、LTX Video のような軽量モデルでは Mac Studio M3 Ultra でも 3〜5 分程度で生成できますが、Wan 2.2 や HunyuanVideo の本格運用は NVIDIA GPU の方が大幅に効率的です。

Apple Silicon の Unified Memory と NVIDIA VRAM の使い分けの考え方は「Apple Silicon Unified Memory vs NVIDIA VRAM 2026年版」で詳しく扱っています。

VRAM の壁:量子化(FP16 → FP8 → FP4)で何が変わるか

動画生成では量子化の効果が大きく出ます。Blackwell 世代(RTX 50 シリーズ)は FP4 ハードウェアサポートを持ち、FP8 比でさらに 1.5〜2 倍のスループットが期待できます。

精度VRAM(モデルサイズ目安)スループット(相対)品質低下
FP161.0(基準、最大)1.0(基準)なし(基準)
FP80.51.5〜2.0(Blackwell) / 1.0(Ada)微小(視認困難)
FP40.252.5〜3.5(Blackwell のみ)やや低下(細部のテクスチャ)
INT8 + tiling0.3〜0.41.0(分割オーバーヘッドあり)エッジに継ぎ目

「FP8 量子化でほとんど品質が落ちない」ことから、Blackwell 世代 + FP8 / FP4 が 2026 年のローカル動画生成で標準的な選択肢 になっています。Ada 世代(RTX 4090)も FP8 まではハードウェアサポートしていますが、FP4 は非対応のため Blackwell との差が広がります。

用途別の推奨 GPU

「試したい程度」(週末に数本生成、品質より試行回数重視)

項目推奨
GPURTX 5070 Ti 16GB / RTX 4070 Ti SUPER 16GB
モデルLTX Video 2B、Wan 2.2 5B TI2V(FP8)
1 クリップ生成時間3〜10 分
価格目安(GPU 単体)15〜18 万円

LTX Video 中心で「数を回す」、Wan 2.2 5B を時々試す、というスタイル。HunyuanVideo は tiling 必須で実用性が下がります。

「本格運用」(週に数十本、品質重視、HunyuanVideo も使う)

項目推奨
GPURTX 5090 32GB / RTX 4090 24GB
モデルWan 2.2 5B / HunyuanVideo 13B FP8 / LTX Video 2B
1 クリップ生成時間1〜8 分
価格目安(GPU 単体)35〜50 万円

Blackwell 世代の RTX 5090 32GB が最も VRAM ヘッドルームが広く、Wan 2.2 5B / HunyuanVideo FP8 を tiling なしで快適に動かせます。RTX 4090 でも HunyuanVideo FP8 までは射程内です。

GPU 単体の選定は「RTX 5090 vs RTX 4090 vs RTX PRO 6000 Blackwell 2026年版」で詳しく扱っています。

「プロ動画制作」(Wan 2.2 14B を回したい、商業案件)

項目推奨
GPURTX PRO 6000 Blackwell 96GB / NVIDIA H100 PCIe 80GB / H100 NVL 94GB
モデルWan 2.2 14B / HunyuanVideo FP16 / LTX Video 2B
1 クリップ生成時間4〜10 分
価格目安(GPU 単体)100〜400 万円

Wan 2.2 14B フルモデルの本格運用には、RTX PRO 6000 Blackwell 96GB か H100 級が必要です。コンシューマ GPU では完結しません。商業動画制作・プロモーション映像・本格的な T2V 制作の領域で、企業用途の構成です。

VRAM 不足を回避する 4 つのテクニック

VRAM が足りないときの実用テクニックを整理します。

  1. 量子化(FP16 → FP8 → INT8):モデルサイズを 1/2〜1/4 に圧縮。HunyuanVideo の FP8 は品質低下がほぼ無く、第一に試すべき設定
  2. Tiling(画像分割処理):1 フレームを 4〜16 タイルに分割して順次処理。VRAM を 1/3〜1/2 に圧縮できるが、エッジに継ぎ目が出る場合あり
  3. CPU Offload:モデルの一部を CPU メモリにオフロード。VRAM をさらに圧縮できるが、生成時間は 2〜3 倍に増える
  4. 解像度を下げる:1080p → 720p → 480p で VRAM が大幅に下がる。試行段階では 480p で当たりをつけ、本番だけ高解像度

これらを組み合わせると、12GB GPU でも動画生成は一応可能です。ただし生成時間が伸びるため、本気で運用するなら最初から 24GB 以上の GPU を選ぶ方が、トータルでは効率的です。

まとめ:迷ったら

  • 試したい程度 → RTX 5070 Ti 16GB / 4070 Ti SUPER 16GB + LTX Video / Wan 2.2 5B
  • 本格運用 → RTX 5090 32GB + Wan 2.2 5B / HunyuanVideo FP8 / LTX Video
  • プロ動画制作 → RTX PRO 6000 Blackwell 96GB + Wan 2.2 14B
  • Apple Silicon は LTX Video のみ実用、Wan 2.2 / HunyuanVideo は MPS 対応次第

ローカル動画生成では VRAM 容量で動かせるモデルが決まり、量子化で必要容量を抑え、Blackwell 世代の FP4 / FP8 サポートが効く というのが 2026 年 5 月時点の状況です。1 クリップあたり数分〜十数分の生成時間がかかるため、「試行回数 × 1 回の時間」のトレードオフで、自分のワークフローに合った GPU を選びましょう。

AI 画像生成全般の PC 構成は「AI画像生成向けPC構成ガイド 2026年版」で、ローカル LLM 用途は「ローカルLLM向けPC構成ガイド 2026年版」で扱っています。動画生成は両者の中間的な VRAM 要件を持つため、これらの構成ガイドも併せて参考にしてください。


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