デスクトップ ガイド 更新 2026年8月20日

ミニPC / SFF(小型)PC 選び方ガイド 2026年版:Strix Halo / Ryzen AI MAX+ 395 でローカルLLM が動く時代

Ryzen AI MAX+ 395(Strix Halo)と統合 GPU + 最大 128GB Unified Memory の登場で、ミニPC は「サブ機」から「メイン候補」に変わりました。MS-S1 Max / BD395i MAX / ASUS Strix Halo 機を軸に、用途別の選び方と落とし穴を整理します。

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ミニPC / SFF 選び 2026:Strix Halo / N100 / Ryzen 8000G APU 用途別マップ

結論:2026 年のミニPC は「Strix Halo を載せた MS-S1 Max クラスなら 70B 級ローカル LLM が動く」「N100 / N305 系なら 4 万円台で実用デスクトップが組める」と、用途で世界がはっきり分かれます。サブ機という発想はいったん脇に置いてください。今のミニPC は構成次第で RTX 5090 マシン並みの VRAM 容量を確保できます。

「ミニPC = 性能が低いサブ機」と思っていると、Ryzen AI MAX+ 395(Strix Halo)の登場を見落とします。Strix Halo は 16 コア Zen 5 + 統合 Radeon 8060S + 最大 128GB LPDDR5X という構成で、iGPU に最大 96GB を VRAM として割り当てられる。これは RTX 5090(32GB)を VRAM 容量だけで超える数字です。この記事では Strix Halo / Intel N シリーズ / Ryzen 8000G APU の 3 系統を軸に、用途別のミニPC 選びを整理します。

ミニPC は 3 系統に分かれる

2026 年のミニPC 市場は、用途で大きく次の 3 つに分かれます。

系統代表チップ価格帯主な用途
ハイエンドRyzen AI MAX+ 395(Strix Halo)30〜50 万円AI 開発、ローカル LLM、Mac Studio 代替
一般デスクトップIntel N100 / N305 / Core Ultra 74〜15 万円オフィス、動画視聴、軽い開発
軽ゲーミングAMD Ryzen 8000G APU、Ryzen 9 7945HX8〜20 万円エミュレーション、ライトな 1080p ゲーミング

ここを混同して「ミニPC が欲しい」と検索を始めると、N100 を勧める記事と Strix Halo を勧める記事が同列で並んで、選びようがなくなります。先に用途を決めるのが基本です。

Strix Halo / Ryzen AI MAX+ 395 で何が変わったか

CES 2026 で MINISFORUM MS-S1 Max、MINISFORUM BD395i MAX、ASUS の Strix Halo 機が一斉に出てきて、ミニPC 市場の常識が大きく書き換わりました。Ryzen AI MAX+ 395 の仕様はこうです。

項目Ryzen AI MAX+ 395(Strix Halo)
CPUZen 5、16 コア 32 スレッド
GPURadeon 8060S(40 CU、RDNA 3.5)
NPUXDNA 2、50 TOPS
メモリLPDDR5X-8000、最大 128GB(オンボード)
iGPU 用 VRAM 割当最大 96GB(OS 設定で可変)
TDP55〜120W(モード可変)
メモリ帯域約 256GB/s

「iGPU に 96GB の VRAM を割り当てられる」のがこのチップの最大の特徴です。 RTX 5090 の 32GB GDDR7 では VRAM に乗らない Llama 3.3 70B Q8(約 70GB)や Mixtral 8x22B Q4(約 80GB)が、Strix Halo なら 1 機で完結します。

ただし、これには大きなトレードオフがあります。

観点RTX 5090Ryzen AI MAX+ 395
利用可能な VRAM32GB最大 96GB
メモリ帯域1,790 GB/s(GDDR7)256 GB/s(LPDDR5X)
70B Q4 トークン速度約 25〜35 tok/s約 5〜8 tok/s
消費電力(システム)約 650W約 130W
価格(GPU/CPU 単体換算)約 55 万円チップ約 12 万円相当

「容量で勝つが、速度では負ける」 という構図です。RTX 5090 の GDDR7 1.79TB/s に対して、Strix Halo の LPDDR5X 256GB/s は約 1/7。LLM 推論は基本的にメモリ帯域律速なので、トークン速度の差はそのまま体感差として出ます。とはいえ「巨大モデルがそもそも動く」というのは絶対的なメリットで、Mac Studio M3 Ultra と同じ立ち位置の選択肢が x86 側にも生まれた、と捉えるのが正解です。

ローカル LLM 全般のスペック設計は「ローカルLLMを動かすPCの最低スペック 2026年版:Llama 3.3 70B が動くまで」で詳しく扱っています。Mac の Unified Memory との詳細比較は「Apple Silicon の Unified Memory vs NVIDIA VRAM 2026年版」を参照してください。

Strix Halo 搭載ミニPC 3 機種の比較

各社 Strix Halo 機(GMKtec EVO-X2 / Beelink GTR9 Pro / MINISFORUM BD395i MAX / ASRock AI BOX-A395)を横断比較したい場合は「Strix Halo ミニPC 比較 2026年版」を参照してください。ケース・電源から自作する Framework Desktop との対比は「Framework Desktop Strix Halo vs ミニPC 2026年版」で扱っています。

2026 年 5 月時点で実売中の Strix Halo 搭載完成品ミニPC は MINISFORUM MS-S1 Max が主力で、Mini-ITX マザボ単体の MINISFORUM BD395i MAX は 2026 H1 発売予定、ASUS の Strix Halo NUC も開発中と報じられています。

項目MINISFORUM MS-S1 Max(発売中)MINISFORUM BD395i MAX(2026 H1 予定)ASUS Strix Halo NUC(開発中・詳細未公表)
形状完成ミニPCMini-ITX マザーボード完成ミニPC(見込み)
メモリ64GB / 128GB(オンボード)64GB / 128GB(オンボード)64GB / 128GB(見込み)
ストレージM.2 2280 ×2M.2 2280 ×2、x16 PCIe Gen5 物理スロット(帯域は x4 相当)未公表
外付け GPU不可(M.2 経由のみ)物理的には可能(PCIe x16 スロット、帯域は x4 相当)未公表
価格(128GB)約 38 万円価格未公表未公表
特徴出荷量が多い、サポート安定自作派向け、GPU 増設可(帯域制約あり)法人チャネル・保証を期待

注目すべきは MINISFORUM BD395i MAX で、これは Strix Halo を載せた Mini-ITX マザーボード単体 として発売予定で、フルサイズの PCIe x16 物理スロットを持っているため後から RTX 4060 / 5060 のような外付け GPU を追加できます(Strix Halo のレーン制約で実効帯域は x4 相当)。「Strix Halo の 96GB iGPU-VRAM で巨大 LLM を走らせつつ、ゲームでは外付け GPU を使う」というハイブリッド構成の余地があります。完成品で確実性を取るなら MS-S1 Max、自由度を取るなら BD395i MAX 発売待ち、という選び分けになります。

MINISFORUM 公式サイトを見る

最新の価格・在庫は流通在庫で変動します。単体マザーボード MINISFORUM BD395i MAX(Strix Halo Mini-ITX)は未発売(2026年中頃予定)で、PCIe x16 で外付け GPU まで足したい自作派は発売待ちです。実売リンクは記事末尾にまとめています。

Intel N100 / N305 系:4 万円台で実用デスクトップ

ハイエンドの対極にあるのが、Intel N100 / N305 系の安価ミニPC です。

チップ主な用途価格帯代表機種
Intel N100(4 コア)オフィス、Web、4K 動画視聴3〜5 万円BMAX、Beelink S12 Pro
Intel N200(4 コア、高クロック)上記 + 軽い開発5〜7 万円GMKtec NucBox
Intel N305(8 コア)NAS、軽サーバー、開発7〜10 万円MINISFORUM UN305
Core Ultra 5/7(HX 系)クリエイティブ作業12〜18 万円Beelink SER9、GMKtec K10

N100 / N305 系のミニPC は、「リモートワーク用の Web 会議+ Office 専用機」「リビング用の動画視聴専用機」「自宅 NAS のフロントエンド」 といった用途に絶妙にハマります。Word / Excel、Zoom、ブラウザ 20 タブ、YouTube 4K 視聴くらいなら N100 で十分足りる時代になりました。

注意点は メモリスロット数とストレージ拡張性。N100 系は SO-DIMM 1 スロットのみのモデルがあり、後からメモリ増設できない場合があります。購入前に「メモリスロット数」「M.2 スロット数」「最大メモリ容量」の 3 点を必ず確認してください。

Ryzen 8000G APU:軽ゲーミング & エミュレーション特化

AMD Ryzen 8000G APU シリーズ(Ryzen 5 8600G、Ryzen 7 8700G)を載せたミニPC は、内蔵 Radeon 780M / 760M の性能が高く、1080p 低設定のゲームや PS2 / Switch エミュレーションが快適に動きます。

代表機種は MINISFORUM HX99G / 795S7、Beelink SER8 など。価格帯は 8〜15 万円で、N100 系より明確に高いものの、Strix Halo まで予算が出ない層の選択肢として機能します。Ryzen AI MAX+ 395(Strix Halo)の登場で立ち位置が中途半端になりつつありますが、「ライトゲーミング+普段使い」を 10 万円前後に収めたいならまだ現役です。

ミニPC で外しやすい 4 つの落とし穴

ミニPC を選ぶときに、デスクトップ感覚で見落とすポイントが 4 つあります。

  1. メモリ非交換のリスク:Strix Halo 機(MS-S1 Max など)はメモリがオンボード(マザーボード直付け)で、後から増設・交換できません。最初から最大容量(128GB)で買うかどうかを決め切る必要があります
  2. 冷却容量:Strix Halo 機は実測 70〜90W の消費電力で、コンパクト筐体の中で熱がこもります。長時間 LLM 推論を回すと CPU/GPU 温度が 85〜95℃ に達する事例あり。机の上で空気が流れる位置に置くのが必須
  3. 電源容量・ACアダプタの仕様:N100 系は 65W AC アダプタが多く、CPU 増設や USB ハブ電源が制限される。Strix Halo 機は 280W〜330W アダプタが必要で、想像より大きな AC アダプタになる
  4. M.2 スロット数と Gen 世代:1 スロットしかない機種は SSD 増設の余地がゼロ。Gen5 対応かも要確認。詳細は「PCIe 5.0 NVMe SSD は本当に必要か 2026年版」で扱っています

Strix Halo 機で iGPU 側に何 GB を VRAM 割り当てするかの実際の設定手順は「Ryzen AI MAX+ 395(Strix Halo)VRAM 割り当てセットアップガイド 2026年版」で扱っています。

推奨構成 3 ライン(2026 年 5 月時点)

普段使い:Intel N100 系(4〜6 万円)

用途構成
リビング用、動画視聴専用機Beelink S12 Pro(N100、16GB、500GB SSD)
Office メイン、リモートワークGMKtec NucBox(N305、16GB、1TB SSD)
自宅 NAS / 軽サーバーMINISFORUM UN305(N305、16GB、Proxmox 用)

「サブ機」「省スペース機」というミニPC 本来の用途。10 万円以下で完結する手軽さが最大の利点です。

クリエイティブ・ライトゲーミング:Ryzen 8000G / Core Ultra 系(10〜18 万円)

用途構成
写真・軽い動画編集 + 普段使いBeelink SER8(Ryzen 7 8845HS、32GB、1TB)
1080p ゲーミング + 開発MINISFORUM 795S7(Ryzen 9 7945HX、32GB、1TB)

ノートPC のクリエイティブモデルを買うか、このクラスのミニPC を買うかで迷うラインです。デスク作業中心ならミニPC のほうが価格対性能で有利になります。

AI 開発・ローカル LLM:Strix Halo 系(30〜50 万円)

Mini-ITX ケース選定・電源・冷却など SFF ビルドの共通知識は「Mini-ITX + RTX 5090 ローカル LLM ビルドガイド 2026年版」(dGPU 構成の作例)も参考になります。

用途構成
ローカル LLM メイン機(70B〜120B 級)MINISFORUM MS-S1 Max(128GB、2TB)
128GB を最安で狙うBeelink GTR9 Pro(128GB、10GbE×2)
自作派、GPU も追加したいMINISFORUM BD395i MAX + Mini-ITX ケース + RTX 5060(2026 H1 発売待ち)

ローカル LLM 用途では Mac Studio M3 Ultra(大容量構成)(約 90 万円)と直接競合します。Mac は速度・静音性で勝り、Strix Halo はコストと x86/Linux 開発環境で勝る、という棲み分けです。

どれを選ぶか:用途から逆算する

用途推奨ライン
Word / Excel / Web / 動画視聴のみIntel N100 系(4〜5 万円)
Office + 軽い開発 + リモートワークIntel N305 / Core Ultra 5 系(7〜10 万円)
写真編集、1080p ゲーミングRyzen 8000G / Core Ultra 7 系(12〜18 万円)
ローカル LLM(30B 以下)Ryzen 8000G + 外付け eGPU
ローカル LLM(70B〜120B)+ AI 開発Strix Halo 系(MS-S1 Max / BD395i MAX)
静音 + 巨大モデル運用Mac Studio M3 Ultra 系

「ミニPC で何ができるか」は 2026 年に大きく変わりました。N100 系で完結する用途と、Strix Halo でしか実現できない用途。両方を「ミニPC」と呼ぶ時代になったので、購入前に自分の用途がどのラインに乗るかを切り分けるのが選び方の出発点です。

CPU 単体のアーキテクチャ比較は「Intel Core Ultra vs Ryzen 9000:2026年のCPU選び」を参照してください。

入手先

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各系統の代表機種の実売リンクを 1 つずつ載せます。

MINISFORUM BD395i MAX(Strix Halo Mini-ITX マザーボード単体)は 2026 年中頃発売予定のため、現時点では Amazon 検索リンクを掲載していません。発売後にこの記事を更新します。


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関連記事

よくある質問

Strix Halo(Ryzen AI MAX+ 395)搭載のミニPC はどれがおすすめ?
2026 年 5 月時点で実際に買える完成品ミニPC の主力は MINISFORUM MS-S1 Max(128GB 構成で約 38 万円、サポートが安定)、GMKtec EVO-X2、Beelink GTR9 Pro、ASRock AI BOX-A395 です。自作派向けには MINISFORUM BD395i MAX(Strix Halo を載せた Mini-ITX マザーボード単体、PCIe x16 スロット搭載で外付け GPU を後付け可能)が 2026 年 H1 発売予定で控えています。ASUS も Strix Halo NUC を開発中と報じられていますが、価格・発売日は未公表です。完成品で確実性を取るなら MS-S1 Max、自由度を取るなら BD395i MAX 発売待ち、という選び分けになります。
128GB Unified Memory のミニPC は存在する?何のために使うのか。
はい、存在します。Ryzen AI MAX+ 395(Strix Halo)搭載機は最大 128GB LPDDR5X をオンボードで積み、iGPU(Radeon 8060S)に最大 96GB を VRAM として割り当てられます。これは RTX 5090(32GB GDDR7)を VRAM 容量だけで超える数字で、Llama 3.3 70B Q8(約 70GB)や Mixtral 8x22B Q4(約 80GB)といった、単一 GPU の VRAM に収まらない大型ローカル LLM を 1 機で完結して動かすための構成です。
ミニPC でローカル LLM は本当に動くのか、どこまで動く?
系統によって決定的に変わります。Strix Halo 系(MS-S1 Max / BD395i MAX)なら 70B〜120B 級のローカル LLM が省電力で 1 機に収まります(Llama 3.3 70B Q4 で約 5〜8 tok/s、速度より容量・省電力を優先する用途向き)。一方 Intel N100 / N305 系のミニPC は Web 会議・Office・動画視聴・軽い開発向けで、ローカル LLM 用途は現実的ではありません。Ryzen 8000G APU 系は 30B 以下の小型モデルまでが目安になります。
Intel N100 / N305 系のミニPC は何用に買うべき?
Word / Excel / Web / Zoom / 4K 動画視聴のような普段使いに絶妙にハマります。想定用途はリモートワーク用の Web 会議+ Office 専用機、リビング用の動画視聴専用機、自宅 NAS / 軽サーバーのフロントエンドなどです。価格帯は N100 で 3〜5 万円、N305 で 7〜10 万円と、ミニPC 本来の「省スペース・低価格・低消費電力」の魅力が最大化する系統です。
Ryzen AI MAX+ 395(Strix Halo)ミニPC の落とし穴は?
主に 4 点あります。1) メモリ非交換(オンボード直付けで後から増設できないため、最初から 128GB を選ぶかを決め切る必要があります)、2) 冷却容量(実測 70〜90W の消費電力でコンパクト筐体に熱がこもり、長時間 LLM 推論で 85〜95℃ に達する事例あり)、3) 電源容量(280〜330W AC アダプタが必要で想像より大きい)、4) M.2 スロット数と Gen 世代(スロット 1 つの機種は SSD 増設余地がゼロ)です。
ミニPC は用途別にどう選ぶ?
3 ラインで考えるのが基本です。普段使い(4〜10 万円)は Intel N100 / N305 系(Beelink S12 Pro / MINISFORUM UN305 など)、クリエイティブ・ライトゲーミング(10〜18 万円)は Ryzen 8000G / Core Ultra 系(Beelink SER8 / MINISFORUM HX99G / 795S7 など)、AI 開発・ローカル LLM 70B〜120B 級(30〜50 万円)は Strix Halo 系(MS-S1 Max / GTR9 Pro / EVO-X2 / BD395i MAX 発売待ち)という切り分けになります。