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RTX 5060 Ti 16GB vs RTX 5070 12GB でローカルLLM はどっちを買うべきか 2026年版:$120 差の VRAM 4GB 増で 14B・32B Q4 が動くかを判断する

$429 MSRP の RTX 5060 Ti 16GB と $549 MSRP の RTX 5070 12GB を、ローカルLLM 用途に絞って比べます。VRAM 16GB と 12GB の差で 14B Q4・32B Q4・Qwen 3 32B・gpt-oss 20B がどこまで載るか、GDDR7 帯域と CUDA コア数で tok/sec がどう変わるか、KV キャッシュ・投機的デコード・オフロード設定で 12GB を延命できるか、$120 差の意味を「載る B 数」で判断できる形に整理します。

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RTX 5060 Ti 16GB vs RTX 5070 12GB:VRAM 4GB 増で 14B・32B Q4 がどこまで載るか

結論:RTX 5060 Ti 16GB は「Qwen 2.5 14B Q4 を長いコンテキストで安全に載せたい」入門者向け、RTX 5070 12GB は「12GB の制約を KV キャッシュ量子化で回避しつつ、速度で稼ぎたい」中級者向けです。GDDR7 の帯域は 448 GB/s vs 672 GB/s、CUDA コア数は 4608 vs 6144、MSRP は $429 vs $549 と $120 差。同じ 14B Q4_K_M でも 5070 の方が概ね 1.4 倍前後の tok/sec が出ます。「載せたい最大モデル」を先に決めれば、$120 差の答えは自ずと決まります。

RTX 50 番台の $500 前後クラスは「GDDR7 世代で 16GB を積んだ唯一のミドル」(5060 Ti 16GB)と「GDDR7 帯域と CUDA コア数で押し切るミドル上位」(5070 12GB)が並ぶ、ローカルLLM 入門者にとっての分岐点です。この記事では 2 枚を LLM 用途に絞って横並びに置き、「$120 差で何が動くようになるか」を数値で整理します。

スペック差分:Blackwell 世代の中位 2 枚

まず両者のスペックを 1 つの表にまとめます。数値は NVIDIA 公式スペックシートと TechPowerUp GPU Database で確認できる範囲のものです。

項目RTX 5060 Ti 16GBRTX 5070 12GB
アーキテクチャBlackwell(GB206)Blackwell(GB205)同世代
CUDA コア数4,6086,144+33%
Tensor コア第 5 世代(144 基)第 5 世代(192 基)+33%
RT コア第 4 世代(36 基)第 4 世代(48 基)+33%
VRAM16 GB GDDR712 GB GDDR7-25%(5070 側)
メモリバス128-bit192-bit5070 側が広い
メモリ帯域448 GB/s672 GB/s+50%(5070 側)
メモリ速度28 Gbps28 Gbps
TGP180 W250 W+39%(5070 側)
PCIeGen 5 x8Gen 5 x165070 側が広い
推奨電源550 W650 W+100 W
MSRP$429(16GB 版)$549+$120

数字を眺めると、5070 の方があらゆる CUDA / Tensor / メモリ帯域で 33〜50% 上回っています。LLM 推論は「メモリ帯域律速」なので、tok/sec は概ねメモリ帯域比に比例します。同じモデルで比較すると、5070 12GB は 5060 Ti 16GB の約 1.4 倍の tok/sec が出ると見積もれます。

その代わり VRAM は 12 GB と、4 GB 少なくなります。この 4 GB 差が「動くモデル」の境界を作る、というのがローカルLLM 用途での焦点です。

VRAM 使用量の実態:14B / 20B / 32B / 70B が載るか

「16GB か 12GB か」を判断するには、代表的なモデルの実 VRAM 使用量を押さえておく必要があります。GGUF 形式(llama.cpp・LM Studio・Ollama で使う)の主要量子化での目安を並べます。

モデル量子化モデルウェイトのみKV キャッシュ(8k ctx)KV キャッシュ(32k ctx)合計目安(32k)
Llama 3.1 8BQ4_K_M4.6 GB0.5 GB2 GB6.6 GB
Qwen 2.5 14BQ4_K_M8.5 GB0.9 GB3.5 GB12 GB
gpt-oss 20BMXFP412 GB1 GB4 GB16 GB
Qwen 2.5 32BQ4_K_M19.5 GB1.4 GB5.5 GB25 GB
Qwen 2.5 32BQ3_K_M15 GB1.4 GB5.5 GB20.5 GB
Llama 3.3 70BQ4_K_M40 GB2.2 GB8.5 GB48.5 GB
Llama 3.3 70BQ3_K_M32 GB2.2 GB8.5 GB40.5 GB

これを VRAM 12 GB / 16 GB の枠に当てはめると、次のような判定になります。

モデル12GB(RTX 5070)16GB(RTX 5060 Ti)
Llama 3.1 8B Q4_K_M32k 余裕、128k も可32k 余裕、128k 余裕
Qwen 2.5 14B Q4_K_M8k までは快適、32k はギリギリ、128k は KV 量子化必須32k 快適、128k も KV 量子化で可
gpt-oss 20B MXFP4収まらない(オフロード必須)32k までギリギリ、128k はオフロード
Qwen 2.5 32B Q4_K_M収まらない収まらない
Qwen 2.5 32B Q3_K_M収まらない収まらない(8k でも 20 GB)
Llama 3.3 70B Q4_K_M収まらない収まらない

「Qwen 2.5 14B Q4_K_M をコンテキスト 32k で常用する」というラインが、両者の境界です。16GB なら余裕、12GB は KV キャッシュを q8_0 量子化して詰める、という違いが出るのがこのクラスの実情です。20B・32B クラスは両方とも単体では入りきらず、CPU オフロードや量子化を強めた運用が必須になります。

実測 tok/sec の想定範囲:帯域律速の割合

LLM 推論はメモリ帯域に強く律速されます。両者の帯域比(672 / 448 = 1.5)と、CUDA コア数比(6144 / 4608 = 1.33)を踏まえた tok/sec の想定範囲を並べます。数値はコミュニティ実測(LM Studio / llama.cpp / Ollama)の中央値を範囲表記にしたもので、iris-lab で新規実測が取れ次第、別記事で更新予定です。

モデルRTX 5060 Ti 16GBRTX 5070 12GB
Llama 3.1 8B Q4_K_M85〜105 tok/s120〜145 tok/s約 1.4 倍
Qwen 2.5 14B Q4_K_M45〜55 tok/s65〜80 tok/s約 1.4 倍
gpt-oss 20B MXFP425〜32 tok/s(オフロード時 12〜18 tok/s)35〜45 tok/s約 1.4 倍(フル VRAM 時)
Qwen 2.5 32B Q4_K_M(両方オフロード)8〜12 tok/s10〜14 tok/s約 1.2 倍

帯域律速のため、両者の VRAM 内に収まるモデルでは 5070 12GB が一貫して速いという結果になります。5060 Ti 16GB が優位に立てるのは、5070 の VRAM に入りきらない gpt-oss 20B MXFP4 級を「オフロード無しでフル VRAM 動作させた場合」で、この 1 点のみです。オフロード発生時のペナルティは重く、DDR5-6400 デュアルチャネル(102 GB/s)に落ちるため、5060 Ti 16GB でも tok/sec は半分近くまで落ちます。

KV キャッシュ量子化とオフロード:12GB の延命策

12GB VRAM で 14B〜20B を扱う場合、「延命策」の理解が体感速度に直結します。主な手段を並べます。

KV キャッシュ量子化(q8_0 / q4_0)

llama.cpp / LM Studio では KV キャッシュ自体を q8_0(半精度)や q4_0(4bit)に量子化するオプションがあります。Qwen 2.5 14B の 32k コンテキストで KV キャッシュ 3.5 GB が、q8_0 で 1.75 GB、q4_0 で 1 GB 前後に圧縮できます。q8_0 は精度低下ほぼ無し、q4_0 は長文の再現性が微妙に落ちる、という傾向があります。

コンテキスト長を短くする

コンテキスト 128k を要求するタスクは実務では多くありません。Coding アシスタントで 32k、要約タスクで 16k、通常チャットで 8k、というのが実感値です。「動くコンテキスト」を要件から逆算すると、12GB でも 14B は十分実用範囲に入ります。

投機的デコード(Speculative Decoding)

大きいモデル + 小さいドラフトモデル(1B〜3B)でトークンを先読みし、確定してから大モデルで検証する方式です。14B + 1B の組み合わせで tok/sec が 1.5〜2 倍に伸びるケースがありますが、ドラフトモデル分の VRAM が余計に必要になります。1B Q4 で約 0.7 GB、これを CPU にオフロードすれば影響は最小です。詳しくは「投機的デコード(Speculative Decoding)の仕組み」で解説しています。

部分オフロード(—n-gpu-layers)

llama.cpp / Ollama では「モデルのうち何レイヤを GPU に載せるか」を層単位で指定できます。全 40 レイヤのうち 30 レイヤだけ GPU、10 レイヤは CPU、という運用で VRAM を意図的に節約する形です。CPU レイヤの通過が遅いため tok/sec は 30〜50% 落ちますが、「VRAM に入り切らないが動かしたい」というシーンでは有効です。

これらを組み合わせると、12GB VRAM でも Qwen 2.5 14B Q4_K_M を 32k コンテキストで常用する構成は成立します。「載る/載らない」の 2 分では答えが出ないケースが多く、「どこを妥協するか」で選択肢が変わる、というのがローカルLLM の実感です。KV キャッシュとコンテキスト長の関係は「ローカルLLM のコンテキスト長と VRAM・KV キャッシュ」で細かく整理しています。

5060 Ti 16GB を 2 枚挿し:合計 32GB で 70B が動くか

「$500 の 5060 Ti 16GB を 2 枚買えば、合計 32GB で $1000 の 5090 相当になるのでは」という発想は、実際にコミュニティでも試されています。結論を先に置くと、モデルウェイトだけを見れば 70B Q3 は動くが、実効性能・電源・環境構築で 5090 単体に負けやすい、というのが実情です。

動く構成の要件

  • マザーボード:PCIe 5.0 x8+x8 に分割できるチップセット(X870E / Z890 の一部)
  • 電源:最低 850W、推奨 1000W(180W × 2 + CPU 150W + マージン)
  • モデル並列:llama.cpp の tensor parallelism を有効化、または vLLM で複数 GPU 指定
  • モデルサイズ:Llama 3.3 70B Q3_K_M(32 GB) + KV キャッシュ 8k で約 34 GB、2 枚合計 32 GB では KV を圧縮しないと入らない

落とし穴

  • 通信オーバーヘッド:PCIe 5.0 x8 は理論 32 GB/s、GDDR7 の 448 GB/s と比べると 1/14。レイヤ境界でのアクティベーション転送が発生する tensor parallelism では、tok/sec が理論値の 60〜70% に落ちる
  • 消費電力:合計 360 W + CPU で 500 W 超、5090 単体(575 W)と大差なくなる
  • モデル選択の柔軟性:合計 VRAM 32GB は 5090 単体と同じだが、単一 GPU に載る場合の方が量子化を軽く(Q4 → Q5)できる

同じ予算感なら RTX 5090 32GB 単体、または中古 A6000 48GB を狙う方が合理的なケースが多く、5060 Ti 16GB 2 枚挿しは「既に電源と PCIe レーンが確保できていて、追加投資を最小にしたい」場合の選択肢になります。

選び方まとめ:$120 差の判断

3 パターンに整理します。

ローカルLLM 入門・14B までを長く使いたい → RTX 5060 Ti 16GB

  • Qwen 2.5 14B Q4_K_M を 32k コンテキストで余裕、128k も KV 量子化で可
  • gpt-oss 20B MXFP4 が「オフロード無し」で動く唯一のこのクラス
  • TGP 180W で電源要件が緩い(550W で組める)
  • 速度は 5070 12GB の 70% 前後だが、常用モデルが 14B までなら体感は十分

速度重視・KV キャッシュ量子化で 12GB を回避 → RTX 5070 12GB

  • 帯域 672 GB/s と CUDA コア数で 5060 Ti 16GB の約 1.4 倍の tok/sec
  • Qwen 2.5 14B Q4_K_M を KV q8_0 で 32k、単発チャット用途で速度優先
  • ゲーミングとの兼用でも上位クラス(RTX 4070 Ti Super と同等のゲーム性能)
  • TGP 250W と電源要件はやや厳しい(650W 推奨)

20B・32B を本気で回したい → どちらでも不十分、RTX 5090 か RTX PRO 6000 を検討

  • Qwen 2.5 32B Q4_K_M は 20 GB 必要で両者とも収まらない
  • Llama 3.3 70B Q4_K_M は 40 GB 必要で両者とも遠い
  • 予算があれば RTX 5090 32GB、業務なら RTX PRO 6000 96GB が現実解

上位クラスの比較は「RTX 5070 / 5070 Ti / 5080 のローカルLLM 実測」、VRAM 別に動くモデルを一望するなら「VRAM 別に動くローカルLLM モデル早見表」を参照してください。GPU を「必要 VRAM」から逆算して選ぶ全体観は「ローカルLLM 用 GPU 選び方ガイド」でまとめています。

$120 差の答えは「載せたい最大モデルの VRAM 要件」を先に決めれば単純です。14B までで十分なら 5060 Ti 16GB の余裕、20B のオフロード運用や速度優先なら 5070 12GB、という 2 択に収まります。両方の中間で迷ったら、「1〜2 年後に 14B〜20B クラスが主流化する」という長期見立てで 16GB に寄せる方が、後悔しにくい選択になります。

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RTX 5060 Ti 16GB(14B までを余裕で常用したい入門者向け)

RTX 5070 12GB(速度優先・KV 量子化で 12GB を回避)

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よくある質問

RTX 5060 Ti 16GB と RTX 5070 12GB は、ローカルLLM 用途ではどちらが有利ですか?
「載せたい最大モデル」で分かれます。Qwen 2.5 14B Q4_K_M(約 8.5 GB)は両方に載りますが、コンテキスト長 32k・128k まで伸ばすと KV キャッシュが 3〜5 GB 追加で必要になり、12GB では窮屈になります。Qwen 2.5 32B Q4_K_M(約 20 GB)はどちらの単体でも VRAM に収まらず、CPU オフロード前提です。14B までを常用するなら 5060 Ti 16GB が余裕、20B・32B のオフロード運用や速度優先なら 5070 12GB の方が帯域(672 GB/s vs 448 GB/s)と CUDA コア数で tok/sec が伸びます。
RTX 5060 Ti 16GB を 2 枚挿しすれば 70B Q4 が動きますか?
モデルウェイトだけで見れば動く可能性があります。Llama 3.3 70B Q4_K_M は約 40 GB で、2 枚合計 32 GB では収まりませんが、Q3_K_M(約 32 GB)や Q2_K(約 26 GB)なら 2 枚挿しの合計 VRAM に収まります。ただし PCIe 5.0 x8+x8 のマザーが必要で、モデル並列(tensor parallelism)の設定と、レイヤ分割時の GPU 間通信オーバーヘッドで tok/sec は理論値の 60〜70% に落ちます。同じ予算で RTX 5090 32GB 単体を狙う方が実効性能・消費電力・環境構築のいずれでも合理的なケースが多く、2 枚挿しは「電源と PCIe レーンを既に確保できている」場合の選択肢になります。
12GB VRAM で 14B モデルを常用するのは現実的ですか?
KV キャッシュを q8_0 量子化(半分に圧縮)、コンテキスト長を 8k〜16k に抑え、投機的デコード用のドラフトモデル(1B 前後)を CPU に追い出す構成であれば、Qwen 2.5 14B Q4_K_M は 12GB でも十分実用範囲です。ただしコンテキスト 32k・128k を常用する場合、あるいは Vision Language Model(Qwen 2.5-VL 7B など)を並行で動かす場合は 16GB の余裕が効きます。「今後 1〜2 年で 14B〜20B が主流化する」という見立てなら 16GB の 5060 Ti、単発チャットで速度優先なら 5070 12GB、という選び方が明快です。