ローカル文字起こし+要約を1台で回すPC構成ガイド 2026年版:Whisper(STT)→ローカルLLM要約のVRAM配分と必要スペック
会議・動画・取材音声をローカルで文字起こし→そのままローカルLLMで要約・議事録化する1台完結パイプラインのPC構成を2026年版で解説。Whisper large-v3 / large-v3-turbo の必要VRAM、STTと要約LLMを同居させるVRAM配分、逐次実行で低VRAMでも回す運用、CPU・メモリ・予算別の現実解までまとめます。
- #Whisper
- #文字起こし
- #議事録
- #ローカルLLM
- #要約
- #faster-whisper
- #VRAM
- #STT
本記事は Amazon.co.jp および各販売店のアフィリエイトリンクを含む場合があります。推奨は性能・コスパ・実機ベンチマーク基準で編集判断しており、提供記事は受け付けていません。詳細は プライバシーポリシー をご覧ください。

結論:会議・取材音声をローカルで文字起こし→要約まで1台で回すなら、VRAM 16GB が快適ラインです。faster-whisper large-v3(約5GB)と要約LLM(14B Q4で約9GB)を並列常駐して合計14GB前後に収まり、RTX 4060 Ti 16GB / 5070 Ti クラスで一気通貫できます。VRAMを節約したいなら large-v3-turbo(約3.5GB)と8Bクラスの組み合わせ、あるいは「文字起こし→モデル開放→要約」の逐次実行にすれば8〜12GB帯でも十分実用です。クラウドに音声を上げたくない議事録・取材ワークフローに刺さる構成です。
「会議の録音を文字起こしして、ついでに要約・議事録までローカルで完結させたい」。この需要が2026年に一気に現実的になりました。音声をクラウドに送らずに済むので機密性が高く、長時間バッチでも従量課金がかからない。Whisper系の文字起こし(STT)とローカルLLMの要約を1台のPCで繋ぐだけで、録音 → テキスト → 議事録の自動パイプラインが手元に組めます。
問題は「どのくらいのPCを買えば回るのか」。文字起こし単体の速度ベンチは「Whisper / faster-whisper / WhisperX 文字起こし速度ベンチマーク」で扱いましたが、本記事はその先、STTと要約LLMを同居させたときのVRAM配分とPC構成の選び方に絞って解説します。速度ではなく「何を買えば回るか」のガイドです。
パイプラインの全体像:音声 → STT → 要約LLM
まず処理の流れを押さえます。1台完結のパイプラインは、ざっくり2段です。
- STT(文字起こし):Whisper系(faster-whisper など)が音声をテキストに変換する
- 要約LLM:ローカルLLM(Qwen3 / Llama 3.x など)が文字起こしテキストを要約・議事録化する
この2つを同じGPUで動かすので、VRAMをどう分け合うかが構成選びの核心になります。考え方は2通り。
- 並列常駐:STTと要約LLMを両方VRAMに載せっぱなしにする。切り替えが速くストリーミング的な処理に向くが、VRAMを2モデル分食う
- 逐次実行:まず文字起こしを終え、Whisperをメモリから開放してから要約LLMをロードする。同時に1モデルしか載らないので低VRAMでも回るが、モデルの載せ替え時間が挟まる
長時間音声のバッチ処理(夜間に録画をまとめて議事録化、など)なら逐次実行で十分。リアルタイムに近い処理や頻繁に回すなら並列常駐が快適、という使い分けです。
STT側のVRAM:large-v3 と large-v3-turbo
Whisper側の必要VRAMを整理します。faster-whisper(CTranslate2)を前提にすると、量子化でかなり軽くなります。
| モデル | パラメータ | 純正 VRAM | faster-whisper float16 | faster-whisper int8 |
|---|---|---|---|---|
| medium | 769M | 5.5GB | 3.0GB | 2.0GB |
| large-v3 | 1,550M | 10.5GB | 5.0GB | 3.5GB |
| large-v3-turbo | 809M | 6.0GB | 3.5GB | 2.5GB |
ポイントは large-v3-turbo です。large-v3を剪定(デコード層を32→4に削減)したうえで微調整したモデルで、精度をほぼ維持しながら大幅に軽量・高速。faster-whisper float16で約3.5GB、int8なら約2.5GBに収まるので、要約LLMと同居させる前提なら turbo が有力です。字幕生成のように1文字の誤りも避けたい高精度用途では無印 large-v3、議事録のように多少の表記ゆれが許容される用途では turbo、という線引きになります。
要約LLM側のVRAM:8B〜14Bが現実解
要約は「長い文字起こしを読んで短くまとめる」タスクで、巨大モデルは必須ではありません。議事録・要約用途なら8B〜14Bクラスで実用十分です。
| 要約モデル(Q4量子化) | 目安VRAM | 向く用途 |
|---|---|---|
| 8B(Llama 3.x / Qwen3 8B) | 約5GB | 箇条書き要約・議事録の自動生成 |
| 14B(Qwen3 14B 等) | 約9GB | 構造化議事録・論点抽出・日本語の自然さ重視 |
| 32B(Q4) | 約20GB | 長文の高品質要約(VRAM 24GB級が前提) |
長い会議の文字起こしを丸ごと読ませる場合、コンテキスト長(入力トークン数)に応じてKVキャッシュ分のVRAMも増える点は要注意です。1時間の会議が日本語で数万トークンになることもあり、長文を一括で食わせるなら少し余裕を持たせるか、チャンク分割して要約する設計にします(コンテキスト長とVRAMの関係は「ローカルLLMのコンテキスト長とKVキャッシュ」で扱っています)。要約モデルの選定そのものは「ローカルLLM モデルの選び方ガイド」が詳しいです。
VRAM別の現実解:8GB / 12GB / 16GB / 24GB
STTと要約LLMの合算で、必要VRAMが決まります。並列常駐を基準に、逐次実行なら下のランクでも回せる、という読み方をしてください。
8GB帯(RTX 4060 / RTX 3060 Ti など)
- 並列常駐は厳しい:turbo int8(2.5GB)+ 8B Q4(5GB)= 7.5GB で、コンテキストを伸ばすとあふれる
- 逐次実行が基本:文字起こし → モデル開放 → 8B Q4ロード → 要約、の順なら余裕。夜間バッチ向け
- 「とりあえずローカルで議事録を回したい」入門ライン
12GB帯(RTX 3060 12GB / RTX 4070 など)
- 並列常駐が可能に:large-v3 float16(5GB)+ 8B Q4(5GB)= 約10GB で収まる
- turbo を使えばさらに余裕が出て、要約のコンテキストを長く取れる
- 個人の議事録自動化なら現実的なスイートスポットの入り口
16GB帯(RTX 4060 Ti 16GB / RTX 5070 Ti など)★快適ライン
- large-v3(5GB)+ 14B Q4(9GB)= 約14GB を並列常駐できる
- 文字起こし精度・要約品質ともに妥協せず一気通貫。常駐させたままサクサク回せる
- 「毎日まとまった量を処理する」業務寄りの用途に最も無駄がない
24GB帯(RTX 3090 / RTX 4090 など)
- large-v3 + 32B Q4(約20GB)クラスの高品質要約まで同居可能
- WhisperXの話者分離(誰の発言か)を併用しても余裕
- 長尺の対談・複数話者の議事録を高品質でまとめたい人向け。上限は「ローカルLLM メモリ容量別 動かせるモデル早見表」を参照
Strix Halo や Apple Silicon の大容量Unified Memory機なら、容量面では要約LLMもまるごと載りますが、メモリ帯域が低めだと要約の生成速度(tok/sec)は控えめになります。文字起こしは一度走れば終わりですが、要約は生成し続けるので、快適さを求めるなら帯域も意識する構成です。
CPU・メモリも効く:長尺音声とデコード負荷
GPUばかり注目されますが、文字起こし+要約のワークフローではCPUとシステムRAMも地味に効きます。
- CPU:音声のデコード(mp3/動画からの音声抽出)やVAD(無音区間検出)、faster-whisperのCPU処理部分で効く。長尺ファイルを多数回すなら Ryzen 7 / Core Ultra 7 クラス以上が安心
- システムRAM:長時間音声をバッチ処理するとデータがRAMに乗る。最低16GB、長時間バッチを常用するなら32GBを推奨
- ストレージ:録音・録画の元ファイルと文字起こし結果が溜まる。NVMe SSD 1TB以上が現実的
なお faster-whisper はCPU推論にも対応しており、リアルタイム性が要らない夜間バッチならGPUなしのMini PCでも medium クラスは回せます。常時起動の議事録サーバーを省電力で組むなら、こうした割り切りも選択肢です。
用途別おすすめ構成
個人の議事録自動化(コスパ重視)
- GPU:RTX 4070(12GB)or RTX 4060 Ti 16GB
- STT:faster-whisper large-v3-turbo / 要約:8B〜14B Q4
- メモリ:32GB / ストレージ:1TB NVMe
- 並列常駐で一気通貫。録音を放り込めば議事録が返ってくる日常運用に
業務での日次処理(精度・量を両立)
- GPU:RTX 5070 Ti(16GB)
- STT:faster-whisper large-v3 / 要約:Qwen3 14B Q4
- メモリ:32GB以上
- 毎日まとまった会議を高精度で処理する本命構成
対談・複数話者・高品質要約
- GPU:RTX 4090 / RTX 3090(24GB)
- STT:WhisperX(話者分離)+ large-v3 / 要約:32B Q4
- 「誰が何を言ったか」付きの議事録を高品質にまとめたい用途
省電力・夜間バッチ常駐サーバー
- Mini PC(Ryzen 7 + 64GB、GPUなし or 内蔵)
- STT:faster-whisper medium(CPU推論)/ 要約:8B Q4
- リアルタイム性を捨てる代わりに省電力で回しっぱなしに
入手先・関連商品
当サイトは Amazon.co.jp アソシエイト・プログラムに参加予定です。下記リンク経由で購入された場合、紹介料を受け取ることがあります。読者の負担は増えません。リンクは記事評価とは独立しており、編集判断には影響しません。
本文で挙げた構成の参考リンクです(主要GPUに絞って掲載)。
文字起こし+要約の同居(16GBクラス・快適ライン)
コスパ重視(12GBクラス)
あなたに合うPCを診断する
用途や予算をもう少し細かく入力すると、3つの候補構成を提案します。
→ 診断スタート
関連記事
よくある質問
- 文字起こしと要約を1台のPCで完結させるには何GBのVRAMが必要ですか?
- 両方を同時に常駐させるなら16GBが快適ラインです。faster-whisper large-v3(VRAM約5GB)とQwen3 14B Q4クラスの要約LLM(約9GB)を並列ロードして合計14GB前後に収まります。12GBでもlarge-v3(5GB)+8B Q4(約5GB)で並列可。逐次実行(文字起こし→モデル開放→要約)にすれば8GB帯でも回せます。
- large-v3 と large-v3-turbo はどちらを選ぶべきですか?
- VRAMに余裕があり字幕など高精度が要るなら large-v3、VRAMを節約したい・議事録用途なら large-v3-turbo が有利です。turboは809Mパラメータで純正約6GB(faster-whisper float16で約3.5GB、int8で約2.5GB)と軽く、精度はほぼ維持したままlarge-v3比で大幅に高速。低VRAM機で要約LLMと同居させたいときに効きます。
- 低VRAMのGPUでも文字起こし+要約はできますか?
- できます。鍵は逐次実行です。まずWhisperで文字起こしを完了させてからモデルをメモリから開放し、続けて要約LLMをロードすれば、両方を同時に載せる必要がなくなります。これなら8GBクラスでも large-v3-turbo int8(約2.5GB)+ 8B Q4 を順番に回せます。同時並列で常駐させたい場合のみ16GBが欲しくなります。