パーツ ガイド

家庭用 NAS 選び方ガイド 2026年版:Synology / QNAP / TrueNAS / UnRAID でローカルLLMモデル倉庫・動画素材・写真バックアップを1台で回す

個人・小規模 SOHO 向け家庭用 NAS の選び方 2026 年版。Synology は 2025 年に純正 HDD 縛りを打ち出したものの DSM 7.3 で撤回済み、それでも QNAP / TrueNAS Scale / UnRAID との実勢比較で選ぶ意味があります。ローカル LLM の GGUF モデル倉庫(数百 GB 〜数 TB)、4K 動画素材の共有、iCloud / Google フォト脱出まで、2 ベイ / 4 ベイ / 8 ベイの構成別に用途と価格を整理します。

  • #NAS
  • #Synology
  • #QNAP
  • #TrueNAS Scale
  • #UnRAID
  • #ローカルLLM
  • #10GbE
  • #ZFS
  • #ホームラボ
  • #バックアップ

本記事は Amazon.co.jp および各販売店のアフィリエイトリンクを含む場合があります。推奨は性能・コスパ・実機ベンチマーク基準で編集判断しており、提供記事は受け付けていません。詳細は プライバシーポリシー をご覧ください。

家庭用 NAS 選び方ガイド 2026 年版:Synology / QNAP / TrueNAS / UnRAID の 4 プラットフォーム比較

結論:2026 年時点の家庭用 NAS は「用途を先に決めてからプラットフォームを選ぶ」時代になっています。iCloud / Google フォト脱出だけなら Synology DS224+ 2 ベイ(5 万円台)、ローカル LLM の GGUF モデル倉庫と 4K 動画素材の共有を 1 台でこなすなら QNAP TS-464 か Synology DS925+ の 4 ベイ(10 〜 15 万円)、ホームラボ用途で Proxmox VM ホストまで兼ねるなら自作 TrueNAS Scale か UnRAID 8 ベイ以上(30 万円〜)が住み分けの目安です。Synology の純正 HDD 縛りは DSM 7.3(2025 年 10 月)で撤回済みなので、DS925+ 世代を選び直す実用上の理由は復活しました。

家庭用 NAS の選び方が 2025 〜 2026 年に大きく揺れました。Synology が 2025 年前半に打ち出した「純正 HDD 必須化」ポリシーで乗り換え検討が急拡大した後、2025 年 10 月 7 日の DSM 7.3 リリースで方針転換して撤回、という一往復を経ています。同時期に TrueNAS Scale の Electric Eel(24.10)が Kubernetes を Docker Compose に置き換えて実運用しやすくなり、UnRAID 7 が Docker アプリの一括インストールを標準化しました。「Synology の一択」だった時代は完全に終わり、用途別に選び分ける現実的な選択肢が 4 プラットフォームまで広がったのが現状です。

本記事では家庭 / 小規模 SOHO 用途に絞って、2 ベイ / 4 ベイ / 8 ベイの 3 段階で構成と価格を整理します。ローカル LLM のモデル倉庫としての使い方は「自宅ローカル LLM サーバー構築ガイド 2026 年版」、10GbE / Wi-Fi 7 の家庭内ネットワーク設計は「自宅 LLM サーバー ネットワーク設計 2026 年版」と合わせて参照してください。

家庭用 NAS が解決する 4 つの用途

購入判断の起点は「1 台で何をやらせるか」です。代表的な用途を 4 つに整理します。

  1. 写真 / スマホ動画のバックアップ — iCloud 200GB プラン(月 400 円)や Google One(月 250 円〜)を止めて、NAS に集約する用途。Synology Photos / QNAP QuMagie などのアプリで自動同期
  2. 4K / 8K 動画素材の共有ストレージ — 家族の動画素材、YouTube 編集用のプロキシ素材、iPhone 15 Pro 以降の ProRes 動画などの置き場。10GbE 経由で Mac の Final Cut / Premiere が直接読み書き
  3. ローカル LLM の GGUF モデル倉庫 — 数 GB 〜数 TB の量子化済みモデル(Llama 3.3 70B Q4_K_M で 40GB、DeepSeek-V3 671B Q4 で 400GB 級)を NAS に集約し、Mac Studio や RTX PC から必要な時だけ読み込む
  4. PC / Mac の Time Machine / システムイメージバックアップ — 起動ドライブ丸ごとのバックアップ

写真バックアップだけで良ければ 2 ベイ(実効 4 〜 8TB)で足ります。ローカル LLM 倉庫と動画素材を兼ねるなら 4 ベイ(実効 20 〜 40TB)が現実的です。Proxmox VM ホストや複数世代のバックアップを保管するなら 8 ベイ以上が必要になります。

2026 年時点の 4 大 NAS プラットフォーム比較

主要 4 プラットフォームの実勢比較を表にまとめます。

プラットフォーム得意分野弱点ライセンス費用対応 HW
Synology DSM 7.3初心者〜中級、写真 / 動画同期アプリが充実高負荷 Docker、GPU パススルーは弱い本体価格に込みSynology 純正機のみ
QNAP QTS 5.2 / QuTS heroDocker コンテナ、仮想化、拡張性UI 学習コスト、セキュリティ更新頻度本体価格に込みQNAP 純正機のみ
TrueNAS Scale(24.10 Electric Eel)ZFS の完全性、Docker Compose、無償学習コスト、GUI の詰めが弱い部分完全無償自作 or iX Systems 純正機
UnRAID 7混在容量 HDD、Docker アプリの豊富さZFS は 6.12 以降で対応も設定要Basic 49 USD / Plus 89 USD / Pro 129 USD 買い切り自作

Synology は「本体を買えば必要な機能が全部入っていて、iPhone / Android の同期アプリまで整っている」パッケージング力が抜群です。iCloud / Google フォト脱出を家族単位でやるなら第一候補として揺るぎません。QNAP は Docker / 仮想化の柔軟性で Synology を上回りますが、UI と設定項目の多さで初心者は迷いやすい面があります。

TrueNAS Scale は ZFS のスナップショット / 差分レプリカ / ビットロット耐性を無償で使える唯一の選択肢です。Electric Eel(24.10)で Docker Compose がネイティブ対応してから、実運用のハードルが大きく下がりました。UnRAID は混在容量 HDD を扱える独自ファイルシステム(パリティ 1〜2 台 + 個別 XFS/BTRFS)が特徴で、既存の 4TB / 8TB / 12TB を混ぜて 1 プールにできる点が家庭で強みになります。

Synology の純正 HDD 縛り撤回:2026 年時点の現実

2025 年初頭に Synology が DS925+ / DS1525+ / DS725+ 系の 2025 年モデルで「Synology 純正 HDD / SATA SSD のみ受け入れ、第三者ドライブは新規セットアップで認識しない」というポリシーを打ち出しました。この時点で乗り換え検討が広がった経緯があります。

2025 年 10 月 7 日リリースの DSM 7.3 でこの方針は撤回されました。2025 年モデルでも第三者ドライブ(WD Red Plus / Seagate IronWolf 等)が「完全に機能する承認済みドライブと同等」に扱われるようになり、警告表示・機能制限も無くなっています。RAID プール作成・ボリューム拡張・DSM の全機能が第三者 HDD で問題なく動きます。

ただし M.2 SSD 側は例外として残っており、ストレージプール作成には Synology の HCL(Hardware Compatibility List)に載っているドライブが引き続き必要です。読み書きキャッシュ用途で M.2 を使うなら Synology 純正 SSD を買う必要があり、この点は 2026 年時点でも変わりません。

「Synology を避けて QNAP や TrueNAS に流れる理由」としては、HDD 縛りは既に消えたので純粋な機能・価格比較で判断できる状態に戻っています。

用途別の推奨構成:2 / 4 / 8 ベイ

2 ベイ構成:写真バックアップ + iCloud 脱出(5 万円台)

家族の写真と動画を集約する最小構成です。RAID 1 で実効容量 8TB を確保します。

構成参考型番参考価格
本体(2 ベイ、4C ARM または x86)Synology DS224+ / QNAP TS-2334 〜 6 万円
HDD 8TB × 2WD Red Plus 8TB / Seagate IronWolf 8TB各 2.5 万円
合計約 9 〜 12 万円(実効 8TB)

DS224+ は Intel Celeron J4125 の 4 コアで、Synology Photos / Drive / MailPlus / Video Station といった主要アプリが動きます。iPhone / Android の写真自動同期を家族分設定するだけで、iCloud 2TB プラン(月 1,300 円)を年間 15,600 円節約できる計算です。3 年で本体代を回収できます。

QNAP TS-233 は ARM ベースで消費電力が低く、動画エンコード用途を捨てる代わりに月 250 〜 400 円の電気代で運用できる強みがあります。

4 ベイ構成:LLM モデル倉庫 + 動画素材(10 〜 15 万円)

ローカル LLM の GGUF モデル倉庫と 4K 動画素材を 1 台で扱う「本命」構成です。RAID 5 で実効 24TB、または RAID 10 で 16TB を目安にします。

構成参考型番参考価格
本体(4 ベイ、10GbE 対応可)Synology DS925+ / QNAP TS-464 / TrueNAS Mini X+8 〜 20 万円
HDD 8TB × 4WD Red Plus 8TB / Seagate IronWolf 8TB各 2.5 万円
M.2 NVMe SSD × 2(キャッシュ用)1TB Gen4 NVMe各 1 万円
10GbE カード(本体側)Aquantia AQC107 系1.5 万円
10GbE カード(PC 側)Aquantia AQC107 系1.5 万円
合計約 22 〜 35 万円(実効 24TB)

QNAP TS-464(Intel N5105 4 コア)は 4 ベイで唯一 10GbE カードを PCIe スロット経由で追加できる価格帯の機種です。Docker で Ollama や llama.cpp を回すこともできるため、NAS 自体を軽い LLM サーバーとして兼用する使い方が現実的です。

TrueNAS Mini X+ は iX Systems 純正の 4 ベイ機で、ZFS が最初から前提の構成です。データ完全性を最優先するなら第一候補になります。ローカル LLM のモデルファイル(GGUF)は 40 〜 400GB のブロブが多いため、ZFS のスナップショット差分レプリカが効率的に働きます。

Synology DS925+ を選ぶ場合は DSM 7.3 以降であれば第三者 HDD が使えるため、WD Red Plus + Seagate IronWolf の混在でコストを抑えられます。

8 ベイ以上:ホームラボ / Proxmox VM ホスト兼用(30 万円〜)

Proxmox で複数の VM を回したり、複数世代のバックアップを 5 年分保管する用途では 8 ベイ以上が必要になります。

構成参考型番参考価格
自作 TrueNAS Scale 8 ベイFractal Design Node 804 + Ryzen 5 7500F + 64GB ECC DDR512 〜 18 万円
HDD 8TB × 8WD Red Plus / Seagate IronWolf各 2.5 万円 × 8 = 20 万円
M.2 NVMe SSD × 2(SLOG + L2ARC)1TB Gen4 NVMe各 1 万円
10GbE / 25GbE NICMellanox ConnectX-4 中古3 万円
合計約 35 〜 45 万円(実効 48TB、RAIDZ2)

Ryzen 5 7500F + 64GB DDR5 の構成なら、Proxmox 上で VM を 3 〜 5 台並行運用しつつ TrueNAS Scale をベアメタルで動かす余裕があります。ZFS の RAIDZ2(RAID 6 相当)なら HDD 2 台同時故障までデータを守れるため、8 ベイ以上のフォームファクタで採用する RAID レベルとしては標準的です。

UnRAID を選ぶ場合は Basic 49 USD / Plus 89 USD / Pro 129 USD の買い切りライセンスで、混在容量 HDD を 1 プールにできる強みが活きます。「4TB × 2 + 8TB × 4 + 12TB × 2」のような雑多な構成でも動くのは UnRAID だけです。

NAS 上の GGUF モデルを 10GbE 経由で読み込む速度感

ローカル LLM 用途で NAS を検討する時、最大の疑問は「NAS から GGUF モデルを読み込むのは NVMe 内蔵と比べてどれくらい遅いか」です。実測感を表にまとめます。

ストレージ帯域Llama 3.3 70B Q4_K_M(40GB)ロード時間
内蔵 NVMe Gen4 SSD7 GB/s6 秒
10GbE 経由 SMB(NAS HDD RAID 5)1.2 GB/s33 秒
10GbE 経由 SMB(NAS NVMe キャッシュヒット)1.1 GB/s36 秒
1GbE 経由 SMB110 MB/s6 分

「起動時 1 回だけ 30 秒待てば済む」なら NAS で十分実用的です。逆に「モデルを頻繁に切り替える」用途では内蔵 NVMe に置いた方が明らかに快適です。1GbE では実用に耐えないので、LLM モデル倉庫として NAS を運用するなら 10GbE 化は必須と考えて予算に組み込んでください。

SMB v3 + マルチチャネル(SMB Direct)を有効にすると、10GbE を 2 本束ねて 20GbE 相当まで拡張できます。iSCSI で NAS を「ブロックデバイス」としてマウントすると SMB より 10 〜 15% 高速になりますが、複数 PC からの共有アクセスに向かない制約があるため、単一 PC からの LLM モデル読み込み用途に限定されます。

RAID 構成の選び方:Z1 vs Z2 vs Mirror

ローカル LLM の運用で悩ましいのが RAID レベルの選択です。判断基準を整理します。

  • RAID Z1(RAID 5 相当) — HDD 1 台故障まで許容。4 ベイで実効 3 台分。ローカル LLM モデル倉庫の用途では十分。ダウンタイムが多少あっても許容できる用途向け
  • RAID Z2(RAID 6 相当) — HDD 2 台同時故障まで許容。8 ベイ以上で選ぶ。ビジネス用途や失えないデータで
  • Mirror(RAID 10 相当) — 2 台ずつペアでミラーリング。実効容量は半分に減るが、リビルド時間が短い(数時間)。動画編集で高頻度書き込みが発生する用途で

家庭用途では 4 ベイ RAID Z1 + 別途クラウドまたは USB HDD にバックアップ、というのが最もバランスが良い構成です。RAID 単体では「ミスで消したファイル」「ランサムウェア」「本体丸ごと故障」から守れないため、必ず別媒体へのバックアップと組み合わせてください。

ローカル LLM 運用でよくある NAS 構成の間違い

家庭ローカル LLM で NAS を導入する時に踏みがちな 3 つの罠を整理します。

  1. 1GbE のまま LLM モデルを NAS に置く — 40GB モデル 1 本のロードに 6 分かかり、実用性が破綻します。10GbE 化が最低条件
  2. NAS 上で直接 llama.cpp を動かそうとする — NAS の CPU(Celeron / N5105 / 4 コア ARM)は LLM 推論用途に非力すぎます。「モデル保管は NAS、推論は Mac / RTX PC」という分業が正解
  3. SSD キャッシュに Synology 純正でない NVMe を刺す — DSM 7.3 でも M.2 側は HCL 縛りが残っています。DS925+ で M.2 SSD をキャッシュに使うなら Synology 純正 SNV3410 系を選ぶ必要があります

ローカル LLM を家庭内サーバーに集約する全体設計は「自宅ローカル LLM サーバー構築ガイド 2026 年版」で扱っています。動画編集用途の PC 選定は「動画編集 PC の選び方 2026 年版」を参照してください。

入手先・関連商品

当サイトは Amazon.co.jp アソシエイト・プログラムに参加しています。下記リンク経由で購入された場合、紹介料を受け取ることがあります。読者の負担は増えません。リンクは記事評価とは独立しており、編集判断には影響しません。

NAS 本体

NAS 用 HDD

10GbE 環境

自作 TrueNAS Scale 8 ベイ向け(CPU)


あなたに合うPCを診断する

用途や予算をもう少し細かく入力すると、3つの候補構成を提案します。

診断スタート

関連記事