サブPC / セカンドPC 構築ガイド 2026年版:配信・テスト機・家族共用で別マシンを持つ判断軸と最小構成
メインPCの裏で動かすサブPCはどう組むか。配信のエンコード分離、Linux/Windows切替、ゲーム配信専用機、家族共用の中古活用まで、用途別に最小スペックと予算感を整理した2026年版ガイド。3万円台から12万円台まで現実解を3パターン提示します。
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結論:2026年のサブPCは「中古9900K + RX 6600 で3万円台」「Ryzen 5 7500F + RTX 5060 で7万円台」「Ryzen 7 7700 + RTX 5060 Ti で12万円台(NVENC AV1配信専用)」の3パターンで考えると話が早いです。NVENC AV1が一般化してデュアルPC配信の必要性は減りましたが、Linux検証機・ゲーム鯖・家族共用・配信トラブル時の保険として、別マシンを持つ価値は今もあります。鍵は「メインと役割が重ならないこと」「メインの予算を削らないこと」の2点です。
サブPC(セカンドPC)を組みたい、と検索した瞬間に出てくるのは「シングルPC vs デュアルPC 配信」の話ばかりで、肝心の「サブ機側を実際にどう組むか」「どこまでスペックを落としていいか」の具体例が意外と少ないものです。配信用と一括りにされがちですが、用途は実際にはもっと幅が広く、最小構成も大きく違います。
この記事は「2台目を組むなら何を選ぶか」を 5 つの用途(配信のエンコード分離 / Linux 検証機 / ゲーム配信専用機 / 家族共用 / ゲームサーバー)に分け、各用途に必要な最小スペックと現実的な予算感を整理した 2026 年版ガイドです。中古活用、Mini-ITX、KVM スイッチなど「2 台目だから安く済ませる」現実解も含めて扱います。メインPCの組み方は「BTO vs 自作PC 2026年版」を、本格的な配信ワークフローは「ゲーム配信向けPC構成ガイド 2026年版」をそれぞれ参考にしてください。
まず:2026年にサブPCは本当に必要か
正直に言えば、2026 年は「サブPC不要派」がじわじわ多数派になりました。NVIDIA GeForce RTX 40 / 50 シリーズの NVENC AV1 ハードウェアエンコーダは、メインで AAA タイトルを 1440p / 4K で回しながら同時に AV1 で配信しても、ゲーム側 FPS の低下はほぼ 5% 未満です。RTX 4070 以上を持っているなら、配信のためだけにサブPCを組む理由は薄れました。
それでも 2 台目を持つ価値が残るのは、次の 5 つのケースです。
| 用途 | 1台運用で困ること | サブPCが解決すること |
|---|---|---|
| 配信エンコード分離 | NVENC AV1 でも 5% は性能落ちる、配信ソフトが落ちた瞬間にゲームも止まる | エンコードと配信ソフトを物理的に切り離せる |
| Linux 検証機 | デュアルブートはストレージと UEFI を汚す、WSL2 は GPU パススルーが弱い | Linux ネイティブで触れる、再インストールが気軽 |
| ゲーム配信専用機 | メインで重い RAW 編集をしながら配信できない | 軽量配信用 OBS だけ動く専用機を分ける |
| 家族共用 | 家族にメインPCを触らせる罪悪感 | 子供や配偶者が壊しても無傷 |
| ゲームサーバー | Minecraft 鯖、Palworld 鯖、Valheim 鯖を 24h 動かしたい | 低消費電力で常時稼働できる |
逆に言えば、これらに該当しないなら サブPCを組む予算をメインPCに足したほうが幸せ です。10 万円でサブを組むより、メインを RTX 5070 → RTX 5070 Ti にアップグレードしたほうが日常の満足度は高い、というのが 2026 年の現実です。
用途別:最小スペックの考え方
サブPCに必要なスペックは、用途で大きく変わります。共通して言えるのは 「メインPCと役割が重ならないこと」 が最優先で、絶対性能はその次です。
1. 配信エンコード分離(デュアルPC配信の本流)
メインでゲームを回し、HDMI / USB キャプチャでサブに映像を送ってサブ側で OBS と配信エンコードを動かす王道構成です。NVENC AV1 が一般化した現在でも、競技 FPS や 240Hz 配信のように 1 フレームも落としたくない人にはまだ価値があります。
| パーツ | 必要スペック | 理由 |
|---|---|---|
| CPU | Ryzen 5 7500F / Core i5-13400F 以上 | OBS は 8 スレッド以上で安定 |
| GPU | RTX 4060 / RTX 5060(NVENC AV1 対応) | サブでも AV1 エンコードしたい |
| メモリ | DDR5-5600 32GB | OBS + 配信プラットフォーム + ブラウザで 16GB は窮屈 |
| ストレージ | 1TB NVMe Gen4 | 録画兼用なら必須 |
| キャプチャ | Elgato 4K X / AVerMedia GC575 | 4K60 HDR パススルー |
CPU を Ryzen 5 7500F にする理由は明確で、内蔵 GPU を省いた分の価格差(実勢で約 5,000 円安)を GPU やキャプチャに回せるからです。サブ機の iGPU は使いません。
2. Linux 検証機(開発者・サーバーエンジニア向け)
WSL2 / VM で済まないケース、たとえば NVIDIA GPU パススルーで CUDA を Linux ネイティブで触りたい、Proxmox や Kubernetes クラスタを自宅で組みたい、Wayland 環境のテストをしたい、といった用途です。Linux 検証機は GPU を妥協できる のが最大の特徴です。
| パーツ | 必要スペック | 理由 |
|---|---|---|
| CPU | Ryzen 5 7600 / Core i5-14400 | 仮想化(IOMMU / VT-d)対応必須 |
| GPU | 中古 RX 6600 / RTX 3050 / iGPU でも可 | デスクトップ表示できれば十分 |
| メモリ | DDR5-5600 32GB(最低)/ 64GB(VM 多用なら) | VM を 3-4 個並列で立ち上げる |
| ストレージ | 1TB NVMe + 中古 SATA SSD 1TB | 検証用は使い捨て前提で多めに |
| マザボ | B650 / B760(IOMMU 分離が綺麗な板を選ぶ) | GPU パススルーするなら必須 |
中古市場で Ryzen 5 5600 + B550 マザボのコンボなら 2 万円前後で揃います。これに RX 6600(中古 1.5 万円前後)を足せば 5 万円以内で Linux 検証機が組めます。
3. ゲーム配信専用機(OBS 軽量運用)
これは「メインでゲームしながら、配信は別 PC でやる」というよりは、「メインを RAW 編集 / レンダリング機として完全に占有し、ゲーム配信は別 PC で完結させる」 タイプの構成です。クリエイター兼配信者が選びがちな構成で、ゲーム配信専用機側で軽めのタイトルを回しながら OBS も同時に動かします。
| パーツ | 必要スペック | 理由 |
|---|---|---|
| CPU | Ryzen 7 7700 / Core Ultra 5 245K | ゲーム + 配信エンコードを同時に |
| GPU | RTX 5060 Ti 16GB / RTX 5070 | AV1 配信 + 1440p ゲーム |
| メモリ | DDR5-6000 32GB | OBS + ゲーム + Discord + ブラウザ |
| ストレージ | 1TB NVMe Gen4 + 2TB SATA SSD | ゲームライブラリ + 録画 |
| ケース | Mini-ITX or microATX | デスク横に置く想定 |
RTX 5060 Ti 16GB は配信専用機としては過剰気味ですが、12GB の RTX 5070 と比べて VRAM が多く、配信時に裏で生成 AI(クリップサムネ生成など)を回す余裕があります。
4. 家族共用(子供・配偶者用)
メインPCを触らせたくない、または家族の作業中に自分が在宅勤務で占有していたい、というケース。ゲームをしないなら新品 BTO の 5-7 万円帯で十分、ゲームもするなら中古活用がコスパ最強です。
| 用途 | 推奨構成 | 予算目安 |
|---|---|---|
| 学習・事務・Web会議のみ | Ryzen 5 7530U ミニPC + 16GB + 512GB SSD | 5-7 万円 |
| 軽量ゲーム(Minecraft / 原神 / VRChat) | 中古 5600X + RX 6600 + B550 | 6-8 万円(中古) |
| AAA タイトル(フォトナ / Apex / Valorant) | Ryzen 5 7500F + RTX 5060 | 12-14 万円 |
家族共用で意外に効くのが モニタとキーボード・マウスを共有して KVM スイッチで切り替える運用 です。サブ機を物理的に小さく(Mini-ITX)して、机の下や横に置く前提なら、追加でモニタを買う必要がありません。
5. ゲームサーバー(Minecraft / Palworld / Valheim)
24 時間稼働を前提とした常時稼働サーバー用途。ここでは絶対性能より消費電力と静音性が最重要 です。Ryzen 5 7500F のような TDP 65W クラスを定格運用するか、中古 Intel NUC / ミニPC で組むのが現実解です。
| パーツ | 必要スペック | 理由 |
|---|---|---|
| CPU | Ryzen 5 7500F / Core i5-13400 / 中古 N100 ミニPC | TDP 65W 以下が望ましい |
| GPU | iGPU で十分 / 中古 GT 1030 でも可 | ヘッドレス運用 |
| メモリ | DDR5-5600 32GB(Minecraft 大規模なら 64GB) | サーバーは RAM 喰い |
| ストレージ | 1TB NVMe Gen4(ワールド保存) | SSD 必須、HDD は遅すぎる |
| ケース | Mini-ITX or ミニPC | 押入れに突っ込める |
Palworld のような大規模ワールド系は RAM を 32GB 以上欲しがります。Minecraft Java Edition Forge MOD 入りも 16GB では足りない場面が多いです。24h 動かす前提なら、CPU を定格運用にして TDP を抑え、サーバーの電気代を月 200-400 円に抑えるのが現実的です。
サブPC構成例 3 パターン:3万円台 / 7万円台 / 12万円台
ここからは「結局いくらで何が組めるか」を具体的に見ていきます。メインPCの予算を削らないこと を前提に、3 つの価格帯で実用構成を提示します。
パターン A:中古活用で3万円台(Linux 検証機 / ゲームサーバー)
| パーツ | 選定 | 価格目安 |
|---|---|---|
| CPU | 中古 Ryzen 5 5600(AM4) | 8,000 円 |
| マザボ | 中古 B550M-A | 6,000 円 |
| メモリ | 中古 DDR4-3200 16GB × 2 | 5,000 円 |
| GPU | iGPU なし → 中古 GT 1030 | 5,000 円 |
| ストレージ | 中古 NVMe 500GB | 3,000 円 |
| 電源 | 中古 550W Bronze | 3,000 円 |
| ケース | 中古 microATX | 2,000 円 |
| 合計 | - | 約 32,000 円 |
ヤフオク / メルカリ / じゃんぱら活用前提です。CPU + マザボ + メモリのセットがヤフオクで 2 万円前後で出ているので、それを起点に組むと早いです。Linux 検証機・ゲームサーバー・家族の Web 用途 ならこの構成で十分です。
パターン B:新品ミドルで7万円台(家族共用 / ライト配信)
| パーツ | 選定 | 価格目安 |
|---|---|---|
| CPU | Ryzen 5 7500F | 21,000 円 |
| マザボ | A620M / B650M(実勢底値) | 12,000 円 |
| メモリ | DDR5-5600 16GB × 2 | 10,000 円 |
| GPU | 中古 RX 6600(または新品 RX 7600) | 18,000 円(中古)/ 30,000 円(新品) |
| ストレージ | NVMe Gen4 1TB | 9,000 円 |
| 電源 | 650W Bronze | 8,000 円 |
| ケース | Mini-ITX or microATX 安価モデル | 7,000 円 |
| 合計(中古 GPU) | - | 約 85,000 円 |
Ryzen 5 7500F は内蔵 GPU を持たないので、必ず GPU を別途用意します。中古 RX 6600 が 1.5-2 万円で買えるため、サブ用途なら新品 GPU は不要です。家族共用、ライトな配信、Linux 検証、すべてカバーできる「困ったらこれ」構成です。
パターン C:NVENC AV1 配信専用機で12万円台
| パーツ | 選定 | 価格目安 |
|---|---|---|
| CPU | Ryzen 5 7500F | 21,000 円 |
| マザボ | B650M ATX | 16,000 円 |
| メモリ | DDR5-6000 16GB × 2 | 11,000 円 |
| GPU | RTX 5060 8GB(NVENC AV1) | 45,000 円 |
| ストレージ | NVMe Gen4 1TB + SATA SSD 1TB | 14,000 円 |
| 電源 | 750W Gold | 11,000 円 |
| ケース | Mini-ITX | 12,000 円 |
| 合計 | - | 約 130,000 円 |
配信専用機としては RTX 5060 で十分です。AV1 NVENC が動けばよく、ゲームを回す機体ではないので 8GB VRAM でも問題ありません。Mini-ITX で組んでメイン機の横に積み、KVM スイッチで切り替える運用がおすすめです。
KVM スイッチで「モニタ・キーボード・マウスを共用」
サブPCを 1 台追加すると、机の上のモニタ・キーボード・マウスをどう共有するかが現実的な課題になります。KVM スイッチ(Keyboard / Video / Mouse) はその答えで、1 つのモニタ・キーボード・マウスを物理ボタンで 2-4 台の PC 間で切り替えるハードウェアです。
| KVM タイプ | 用途 | 価格帯 |
|---|---|---|
| HDMI 2.0 4K60 KVM | フルHD / 1440p / 4K60 ゲーミング | 1.5-3 万円 |
| DisplayPort 1.4 4K144 KVM | 高リフレッシュレート(4K144 / 1440p240) | 3-5 万円 |
| USB-C / Thunderbolt KVM | ノート併用、マルチモニタ | 4-7 万円 |
注意点は 「ゲーミング用途で 144Hz 以上を使う場合は DisplayPort 1.4 KVM が必要」 という点です。HDMI 2.0 KVM は 4K60 までしか通せません。Thunderbolt 5 / USB4 関連の話は「Thunderbolt 5 / USB4 / USB 3.2 の違い 2026年版」でも触れています。
ソフトウェア KVM(Synergy / Barrier / Mouse Without Borders)も選択肢ですが、配信のような遅延が許されない用途では物理 KVM のほうが安定します。
Mini-ITX で省スペース化:おすすめケース 4選
サブPCを 2 台目として置く場合、机の下や横の限られたスペースに収まることが大事です。Mini-ITX 規格のケースから 4 つに絞って紹介します。
| ケース | サイズ | 特徴 |
|---|---|---|
| Fractal Design Terra | 10.4L | デザイン重視、木のフロントパネル |
| NZXT H1 v2 | 13.6L | 縦置き省スペース、電源・水冷一体 |
| Lian Li A4-H2O | 11.2L | 240mm 簡易水冷搭載可、RTX 5090 まで対応 |
| SilverStone SUGO 16 | 12L | コスパ重視、ATX 電源搭載可 |
Mini-ITX のデメリットは「マザボの選択肢が少ない」「拡張性が低い」「冷却に工夫が必要」の 3 点です。サブPC用途なら拡張性はそもそも不要なので、見た目と冷却のバランスで選んで問題ありません。ケース全体の選び方は「PCケース選び方ガイド 2026年版」を参照してください。
サブPCを組む前に再確認したい3つの質問
最後に、サブPCを組もうとする前に自問しておきたい 3 つの質問です。
- 「メインPCのスペック不足を、サブPCで補おうとしていないか」:もしそうなら、その予算をメインPCに足すべき
- 「24h 動かす用途か、それとも切り替えて使う用途か」:24h なら消費電力重視、切り替え用途なら絶対性能寄せ
- 「机の上に物理的にもう 1 台置く現実があるか」:モニタ・スピーカー・配線が増える覚悟があるか
これらに即答できるなら、サブPCを組む価値は十分あります。逆に曖昧なら、もう少し用途を絞ってから決めても遅くありません。
まとめ:サブPCは「役割の分離」と「予算の分離」が肝
- 2026 年は NVENC AV1 でデュアルPC配信の必要性は下がったが、Linux 検証・ゲーム鯖・家族共用・配信トラブル保険として価値は残る
- メインと役割が重ならないこと、メインの予算を削らないことが鉄則
- 用途別の現実解は 「中古 3万円台 / 新品ミドル 7万円台 / NVENC AV1 配信専用 12万円台」 の 3 パターン
- Ryzen 5 7500F は内蔵 GPU を省いた分だけ安く、サブ機の CPU として最適
- KVM スイッチ + Mini-ITX で省スペース運用にすると 2 台目を置く心理的ハードルが下がる
- 「メインのスペック不足をサブで補おうとしている」状態なら、その予算はメインに回したほうが幸せ
2 台目を「とりあえず組む」のではなく、「これとこれを切り離したい」という具体的な動機から逆算するのがコツです。動機さえ明確なら、構成は今回の 3 パターンのどれかにほぼ収まります。
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