ノートPC ガイド

ノートPCのメモリ・SSDは増設できるか 2026年版

ノートPCのメモリ増設・SSD交換の可否を MacBook/ThinkPad/Framework/Surfaceで整理。M.2 2280/2230の見分け方も。

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ノートPC のメモリ・SSD 増設可否 2026: MacBook / ThinkPad / Framework / Surface 4系統の交換可能スロット図

結論: 2026 年のノートPC は「メモリは基本的に半田付けで増設不可、SSD は M.2 スロットがある機種なら交換可」が既定線です。メモリまで増設可能なのは Framework Laptop 13/16 (メモリ SO-DIMM 2 枚 + SSD M.2 2280 交換可)、ThinkPad T14 Gen 6 AMD / P16 (SO-DIMM + M.2 2280) など片手で数える程度に限られます。Surface Laptop / Copilot+ PC 主要機種は SSD は M.2 2230 で交換可なもののメモリは LPDDR5X 半田付け、MacBook はメモリ・SSD ともに一体化、LG gram はメモリ半田付け (SSD は M.2 2280/2230 が機種により選択) です。メモリ・SSD 高騰下 (2026 年 8 月時点、DDR5 は 2025 年後半比で約 2 倍まで上昇) で「あとから増設できる機種を選んで初期構成を安く済ませる」のはメモリ増設まで狙うなら Framework / ThinkPad T14 AMD・P16 以外では実質不可能、というのが 2026 年時点の現実です。

DDR5 と NVMe SSD の価格高騰が 2026 年に入っても続き、購買判断で「初期構成は控えめにして、後で足すか?」と考える人が増えています。ただし 2026 年のノートPC は 2018 年頃までの「メモリスロット 2 本 + M.2 SSD スロット 1〜2 本」が既定だった時代とは前提が変わりました。本記事では 4 系統 (MacBook / ThinkPad / Framework / Surface + Copilot+ PC) の分解可否、M.2 2280 と 2230 の見分け方保証への影響 を購買前チェックリストとして整理します。

前提: 2026 年ノートPC の「増設不可」化は物理的な理由がある

技術背景を 1 段落だけ書いておきます。近年のノートPC でメモリが半田付け化している主因は LPDDR5X のオンパッケージ実装 です。LPDDR5X は CPU パッケージのすぐ横 (または同一パッケージ内) に実装することで信号距離を短くし、8533 MT/s 級の帯域を確保します。SO-DIMM 化するとこの帯域が半減する上、Apple Silicon / Snapdragon X Elite / Ryzen AI MAX+ / Intel Lunar Lake / Panther Lake などの統合 GPU/NPU が unified memory 前提の設計になっているため、後付け増設と両立できません。

技術背景の詳細は「LPDDR5X と次世代 LPDDR6 の違い 2026年版」、Apple Silicon と Strix Halo の「なぜ半田付けなのか」は「半田付け LPDDR5X vs DIMM メモリ 2026年版」で扱っています。本記事はここから先の 購買者視点の実務ガイド に絞ります。

4 系統の交換可否マトリクス

主要ノートPC を 4 系統に分けて、メモリ・SSD の交換可否を整理します。

系統代表機種メモリSSD保証への影響
MacBookMacBook Air/Pro M4/M5 全 SKU半田付け (LPDDR5X)半田付け一体化Apple Self Service Repair 対応の一部部品のみ交換可
ThinkPad (T/X1)T14 Gen 6 / T14s Gen 6 / X1 Carbon Gen 13 / P16T14 AMD: SO-DIMM 2 枚 / P16: SO-DIMM 4 枚 / T14 Intel・T14s・X1C: 半田付けいずれも M.2 2280 交換可Lenovo 保守マニュアル通りなら保証内
Framework LaptopFramework Laptop 13/16SO-DIMM 2 枚 (13/16 とも)M.2 2280 交換可公式で交換前提。保証影響なし
Surface / Copilot+ PCSurface Laptop 7/8, Surface Pro 11/12, Dell XPS 13, HP OmniBook X, LG gram半田付け (LPDDR5X)Surface: M.2 2230 交換可 / XPS 13: M.2 2230 / OmniBook・gram: 機種依存Microsoft Repair Guide 対応機は自己交換可

購買前チェックリスト:

  1. 現行/購入予定機種の iFixit repairability score を確認 (7 以上が「実務的に交換可」の目安)
  2. メーカーの「ハードウェア保守マニュアル」または「Service Manual」の PDF を確認 (Lenovo / Dell / HP / Framework は公開されている)
  3. M.2 スロットの規格 (2280 か 2230 か) を確認
  4. LPDDR5X 表記があればメモリ増設は不可と判断
  5. Apple 機は「Apple Self Service Repair」対応リスト (support.apple.com/self-service-repair) で対象機種を確認

MacBook 系: 半田付け + 一体化 SSD、Apple Self Service Repair の実態

MacBook Air/Pro M4/M5 全 SKU で メモリは Apple Silicon SoC と同一パッケージ内の unified memory、SSD は基板半田付けで T2 相当のセキュリティチップと結び付けられています。物理的にも論理的にも増設・交換の余地が消えました。

Apple Self Service Repair は 2022 年から段階的に拡大され、2026 年時点で MacBook Air M4/M5、MacBook Pro 14/16 M4/M5 の一部部品 (バッテリー、トップケース、ディスプレイ、スピーカー) を公式部品 + マニュアルで自己交換できます。ただし SSD とメモリは対象外。故障時は基板ごと交換 (Apple のロジックボード交換価格は $500〜$1,500 レンジ) になります。

購入時の教訓は「Mac は買った時の構成が生涯構成」に尽きます。RAM は 24GB 以上、SSD は 512GB 以上を推奨というのが 2026 年時点の実務的な目安 (Mac のメモリ選定の詳細は「Mac の unified memory は何 GB 選ぶべきか 2026年版」)。

ThinkPad 系: T14 と T14s で分岐する。SO-DIMM 生存機を狙うなら T14 Gen 6

ThinkPad は Lenovo が 2 系統に明確に分けています。

機種メモリSSDメモ
ThinkPad T14 Gen 6 (AMD)SO-DIMM DDR5 2 枚 (交換可)M.2 2280 NVMe増設派の第一候補
ThinkPad T14 Gen 6 (Intel Core Ultra)半田付け LPDDR5XM.2 2280 NVMeAMD 版と混同注意
ThinkPad T14s Gen 6半田付け LPDDR5XM.2 2280 (PCIe 4.0)薄型化と引き換えにメモリ増設不可
ThinkPad X1 Carbon Gen 13半田付け LPDDR5XM.2 2280 (PCIe 5.0)メモリ増設不可、SSD は 2280 交換可
ThinkPad P16 Gen 3 (モバイルWS)SO-DIMM DDR5 4 枚 (最大 192GB、交換可)M.2 2280 × 3 (PCIe 5.0×1 + 4.0×2)増設派 + 大画面派

「ThinkPad なら増設できる」は既に神話です。 増設可能なのは T14 Gen 6 AMD 版 と P16 のような限定機種のみ。X1 Carbon / T14s は薄型化 (12.4mm 級) の代償として半田付け化しています。

Lenovo は各機種の Hardware Maintenance Manual (HMM) を PDF で公開しており、保証内の自己交換はマニュアルに従っている限り認められます。ただし SSD は Lenovo が「ORIGINAL PART」認証したもの以外を使うと BIOS 警告が出る機種があり、Samsung 990 PRO / WD Black SN850X など主要ブランドは動作しますが、事前に対応 SSD リストを確認するのが安全です。

Framework Laptop: 「増設できる」を看板にした唯一のメジャー機

Framework Laptop 13/16 は「モジュール式で拡張・修理を前提とする」ことを設計目標にしたブランドで、2026 年時点で消費者向けノートPC の中で メモリ・SSD 両方が交換可能な数少ないメジャー選択肢 です。

項目Framework Laptop 13 (2026, AMD Ryzen AI 300)Framework Laptop 16 (2026, Ryzen AI 9 HX 370)
メモリSO-DIMM DDR5-5600 × 2 (最大 96GB)SO-DIMM DDR5-5600 × 2 (最大 96GB)
メインSSDM.2 2280 × 1M.2 2280 × 2 (RAID 可)
セカンダリSSDM.2 2230 × 1 (拡張ベイ)拡張モジュールで追加可
CAMM2 対応AMD Ryzen AI 300 版は未対応 (Framework Laptop 13 Pro Intel Core Ultra Series 3 は LPCAMM2 対応、2026-04 発表)未対応 (2026 年時点)
保証自己交換で無効化されない (公式方針)同左

CAMM2 / LPCAMM2 の現状: 薄型ノートPC で交換可能な高速メモリを確保する新規格として、CAMM2 は 2023 年頃から Dell Precision 7670/7680/7780 で先行採用されました。LPDDR5X をモジュール化した LPCAMM2 は 2026 年に入って Framework Laptop 13 Pro (Intel Core Ultra Series 3、2026-04 発表) がコンシューマ向けで採用しています。ただし Framework Laptop 13 (AMD Ryzen AI 300 版) と Framework Laptop 16 は 2026 年時点で従来の DDR5-5600 SO-DIMM のままです。LPCAMM2 のコンシューマ機全般への広い普及は 2027 年以降になる見込みです。

Framework の詳細レビューは「Framework Laptop 13/16 実機レビュー 2026年版」を参照してください。

Surface / Copilot+ PC: メモリ半田付けが標準、SSD は M.2 2230 の見分けが重要

Copilot+ PC カテゴリ (Snapdragon X Elite / Ryzen AI 300 / Intel Core Ultra Lunar Lake 系) は メモリは全機種 LPDDR5X 半田付けが標準。増設の余地がありません。SSD は機種によって M.2 スロットの有無・規格が分かれます。

機種メモリSSDメモ
Surface Laptop 7 (Snapdragon X Elite)半田付け LPDDR5XM.2 2230 (Microsoft Repair Guide 対応)公式マニュアルあり、自己交換可
Surface Laptop 8 (2026)半田付け LPDDR5XM.2 2230同上
Surface Pro 11/12半田付け LPDDR5XM.2 2230 (背面カバー内)公式で交換可
Dell XPS 13 (2026)半田付け LPDDR5Xベースは M.2 2230 (1TB/2TB は M.2 2280)Service Manual あり
HP OmniBook X半田付け LPDDR5XM.2 2230 (機種依存)HP Service Guide 確認要
LG gram 14 (2026)半田付け LPDDR5XM.2 2280 (下位モデル) / 2230 (薄型)薄型化モデルは 2230

M.2 2280 と M.2 2230 の見分け方:

  • M.2 2280: 22mm 幅 × 80mm 長さ。デスクトップ・大型ノートPC の標準。WD Black SN850X, Samsung 990 PRO, Crucial T500 などの主流 NVMe SSD はここ
  • M.2 2230: 22mm 幅 × 30mm 長さ。Surface / 薄型 Copilot+ PC / Steam Deck / ROG Ally / Framework 拡張ベイ で採用。選択肢が狭く価格も 2280 より高い。WD Black SN770M, Corsair MP600 Mini, Sabrent Rocket 2230 などが該当

Steam Deck / ROG Ally / Xbox Ally を持っているなら 2230 の互換性を確認しておくと、増設時に SSD を流用できる余地があります。

保証への影響: 米国・EU・日本で扱いが異なる

「メモリ・SSD を自己交換すると保証が外れるのか」は、購入者に共通する不安点です。国 (地域) と機種ごとに扱いが違うため、断定を避けて 2026 年時点の一般的な整理を示します。

  • 米国: Magnuson-Moss Warranty Act により、「自己修理を理由に保証を無効化することは原則禁止」。ただし自己交換で破損させた部品の保証は当然対象外
  • EU: 2024 年に成立した Right to Repair 指令 (Directive 2024/1799、加盟国の国内法への移行期限は 2026 年 7 月末) により、独立修理業者が純正でない互換部品や中古部品を使うことをメーカーが妨げてはならないと定められ、消費者の修理権が強化される方向にあります
  • 日本: メーカーの保証約款が優先されるケースが多いです。Lenovo / Framework / Dell は自己交換を保証内とする明文規定があります。Apple / Microsoft は公式プログラム (Self Service Repair) 経由の交換のみ保証継続、それ以外は保証終了となるのが実務上の運用です
  • 共通の注意点: メーカーごとに「封印シール (VOID シール)」を貼っている機種があり、これを剥がすと保証終了とする運用が残っています。実際に自己交換する前に、保守マニュアルの該当ページ (「Warranty status after service」など) を必ず確認してください

購買前チェックリスト (5 項目)

高騰下で「後から足せる機種を選ぶ」判断をするなら、購入前に次の 5 項目を確認してください。

  1. メモリの実装方法: SO-DIMM か LPDDR5X 半田付けか。半田付けなら初期構成で完結する容量を選ぶ
  2. SSD の規格: M.2 2280 か 2230 か。2230 は選択肢が狭く単価が高い
  3. 保守マニュアルの入手可否: Lenovo HMM / Dell Service Manual / Framework Wiki / Microsoft Repair Guide が公開されているか
  4. iFixit repairability score: 7 以上が「実務的に交換可」の目安。5 以下は分解時の破損リスクが高い
  5. メモリ・SSD の高騰継続を織り込む: DDR5 と NVMe の価格推移は「メモリ・SSD 価格高騰は 2026 年いつ終わるか」で扱っています。「今買う vs 半年待つ」の判断もここに含まれます

まとめ: 2026 年に「あとから増設できる」は Framework / ThinkPad T14/P16 の実質 2 択

2026 年のノートPC で「メモリ・SSD を後から増設して初期投資を抑える」を成立させたいなら、選択肢は Framework Laptop 13/16 か ThinkPad T14 Gen 6 (AMD) / P16 に絞られます。それ以外の主要機種 (MacBook / X1 Carbon / T14s / Surface / Copilot+ PC / LG gram) は メモリ半田付けが既定で、初期構成で決まる と割り切って選ぶ方が精神的にも財布的にも健全です。

M.2 SSD は交換可能な機種が多いため、「SSD だけ 512GB で妥協して、後で 2TB へ差し替える」戦略は 2026 年時点でも成立 します。ただし 2230 サイズ機種は選択肢が狭く単価が高い点は織り込んで購入してください。

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