OpenAI gpt-oss 120B / 20B ローカル実行完全ガイド 2026年版:MXFP4 ネイティブ・Apache 2.0 を VRAM 別に動かす構成と tok/sec
OpenAI が 2025年8月に Apache 2.0 で公開した gpt-oss-120B / gpt-oss-20B のローカル実行完全ガイド。MXFP4 ネイティブ量子化で 120B が 80GB GPU 1枚、20B が 16GB VRAM で動く前提条件、推奨構成(H100 / RTX PRO 6000 / RTX 5090 / RTX 5060 Ti / Strix Halo / Mac Studio)別の実測 tok/sec、MoE active params(120B=5.1B / 20B=3.6B)と reasoning ベンチでの位置付け(o4-mini / o3-mini 相当)、Ollama / LM Studio / llama.cpp / vLLM の選び方を 2026年6月時点で整理します。
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結論:gpt-oss-120B(117B / active 5.1B)は H100 80GB か RTX PRO 6000 96GB の単機で実用、Strix Halo(128GB UMA)でも 30 tok/s 前後で回る。gpt-oss-20B(21B / active 3.6B)は RTX 5060 Ti 16GB から MacBook Pro M4 Pro まで「16GB クラスの一般機」で 24〜400 tok/s 級で動く。両モデルとも MXFP4 ネイティブ量子化済み・Apache 2.0 ライセンスで商用利用可、reasoning は 120B が o4-mini 相当、20B が o3-mini 相当。OpenAI 初の本格オープンウェイトとして「ChatGPT 並みの推論を自宅 PC で」がついに現実解になった、というのが 2026年6月時点の素直な見立てです。
OpenAI が 2025年8月5日に gpt-oss-120B と gpt-oss-20B を Apache 2.0 で公開してから、ローカル LLM の景色は一段変わりました。MXFP4 ネイティブの設計により「VRAM 16GB で 20B クラスの reasoning モデルが動く」「80GB 1枚で 120B が動く」というスペック対性能比は、Llama 3.3 70B や Qwen 3 系を踏み越えた水準です。本記事は、自前 PC で gpt-oss を動かしたい人向けに、必要 VRAM・推奨構成・実測 tok/sec・実装ツール選びを 2026年6月時点で整理します。
ローカル LLM の総論(PC 全体の最低スペック)は「ローカルLLMを動かすPCの最低スペック 2026年版」、量子化全般の話は「ローカルLLMの量子化フォーマットとは 2026年版」を先に押さえると、本記事の数字が読みやすくなります。
モデル仕様:2つの gpt-oss を1枚の表で
| gpt-oss-20B | gpt-oss-120B | |
|---|---|---|
| 総パラメータ | 21B | 117B |
| Active パラメータ(MoE) | 3.6B | 5.1B |
| エキスパート数 | 32 / トークンあたり 4 active | 128 / トークンあたり 4 active |
| コンテキスト | 128K | 128K |
| 量子化 | MXFP4 ネイティブ | MXFP4 ネイティブ |
| 最低 VRAM | 約 16GB | 約 80GB |
| ライセンス | Apache 2.0 | Apache 2.0 |
| reasoning 相当 | o3-mini クラス | o4-mini クラス |
ポイントは2つあります。
1) MoE(Mixture of Experts)構造:120B でも実際に1トークン生成するときに走る計算は active 5.1B 分だけです。これが「117B なのに H100 1枚で 50 tok/s 出る」根拠で、dense モデルだったらこの規模は単機推論が現実的ではありません。MoE の仕組み自体は「MoE(Mixture of Experts)とは:仕組みとローカルLLMでの効き方 2026年版」で扱っているので、active と total の使い分けが曖昧な場合は先にそちらを。
2) MXFP4 ネイティブ:通常は FP16 で公開された重みをコミュニティが GGUF Q4 などに後から量子化しますが、gpt-oss は OpenAI が最初から MXFP4(4bit 浮動小数点)で配布しています。配布サイズは 120B が約 65GB、20B が約 12GB。後から量子化することで起きる精度劣化が原理的に発生せず、Blackwell(RTX 50 シリーズ)の Tensor Core が MXFP4 をハードでネイティブ演算できるので速度・効率の両取りになっています。MXFP4 / NVFP4 の理論は「NVFP4 vs MXFP4 vs FP8 とは 2026年版」に書きました。
必要 VRAM とハード対応の早見表
「自分の手元で動くか?」は VRAM と帯域でほぼ決まります。gpt-oss を動かすときの最低ラインを早見表にしました。
| 手元の機材 | gpt-oss-20B | gpt-oss-120B |
|---|---|---|
| RTX 5060 Ti 16GB | ✓ 余裕 | ✗(VRAM 不足) |
| RTX 4070 / 5070(12GB) | △ Q4 GGUF 化で詰める | ✗ |
| RTX 4080 / 5080(16GB) | ✓ | ✗ |
| RTX 4090 / 5090(24GB / 32GB) | ✓ 高速 | ✗(単体ではコンテキスト不足) |
| RTX PRO 6000 Blackwell(96GB) | ✓ | ✓ コンテキスト余裕 |
| H100 80GB | ✓ | ✓ 公式サポートライン |
| MacBook Pro M4 Pro(18GB UMA) | ✓ | ✗ |
| MacBook Pro M4 Max(48GB+) | ✓ | △ Q4 で詰めればギリ |
| Mac Studio M4 Max(64GB+) | ✓ | ✓ |
| Mac Studio M3 Ultra(256GB) | ✓ | ✓ コンテキスト超余裕 |
| Strix Halo(Ryzen AI Max+ 395 / 128GB UMA) | ✓ | ✓(96GB を GPU 割当) |
VRAM 容量がどう決まるかの基礎は「ローカルLLMで動くモデルとVRAM容量の早見表 2026年版」、機材横断の購入ガイドは「ローカルLLM向け GPU 購入ガイド 2026年版」と「Mac Studio でローカルLLM 2026年版」が続編です。
tok/sec の目安:実測ベース
公開情報・コミュニティ報告から拾った代表的な数字です。コンテキスト長・バッチサイズ・実装で揺れる前提で、桁感の目安として読んでください。
gpt-oss-20B
| 機材 | tok/sec(生成) | 出典の文脈 |
|---|---|---|
| RTX 5060 Ti 16GB | 約 488 tok/s(short context) | NVIDIA RTX AI Garage 公式ブログ |
| RTX 5090 32GB | 256〜424 tok/s(8K context) | NVIDIA / コミュニティ実測 |
| RTX 4090 24GB | 200〜300 tok/s 級 | LM Studio コミュニティ報告 |
| M2 Pro 32GB(ノート) | 約 24 tok/s | Hugging Face ディスカッション |
| MacBook Pro M4 Pro 18GB | 30〜45 tok/s 目安 | コミュニティ報告(実装依存) |
| Mac Studio M4 Max 64GB | 50〜70 tok/s | コミュニティ報告 |
20B は「16GB あれば動く・速い」が本質で、ノート PC でも実用速度が出ます。MacBook Pro M4 Pro クラスを既に持っているなら、外部 API なしで o3-mini 相当の reasoning モデルが手元で動く、という地味に大きい意味があります。
gpt-oss-120B
| 機材 | tok/sec(生成) | 出典の文脈 |
|---|---|---|
| H100 80GB | 50 tok/s(per-stream)/ 180〜220 tok/s(並列) | OpenAI 公式ガイド / NVIDIA |
| RTX PRO 6000 Blackwell 96GB | H100 同等〜やや上 | コミュニティ推測 |
| Strix Halo(Ryzen AI Max+ 395 128GB) | 30〜46 tok/s | AMD 公式 / Hacker News |
| Mac Studio M3 Ultra 256GB | 30〜50 tok/s 帯(帯域 819GB/s 由来) | コミュニティ報告 |
| DGX Spark 128GB UMA | 20 tok/s 前後 | DGX Spark / Strix Halo 比較 |
120B は「H100 80GB 級が公式サポートライン」で、コンシューマ向けで現実的なのは Strix Halo(30 tok/s、$2,000 前後)か Mac Studio M3 Ultra(30〜50 tok/s、$5,000〜)です。RTX 5090 単体(32GB)では VRAM が足りず、2枚挿しでも GPU 間通信のオーバーヘッドで「動きはするが効率は悪い」レベル。詳細は「RTX 5090 2枚挿しマルチGPUでローカルLLMは本当に速くなるのか 2026年版」が参考になります。
実装ツールの選び方
gpt-oss は主要ローカル LLM ランタイムが軒並み正式対応しています。用途別の素直な選び方は次のとおりです。
Ollama:ollama run gpt-oss:20b / ollama run gpt-oss:120b の1コマンドで動きます。初手はこれで間違いなし。ただし内部実装の都合で MXFP4 ネイティブの恩恵を全部は活かしきれていないという報告もあり、もう一段速度を引き出したい場合は次のどちらかに切り替えます。
LM Studio:GUI で MXFP4 / GGUF を切り替えながら使えます。Ollama の MXFP4 版より、LM Studio で GGUF 版を読み込んだ方が明らかに速いというコミュニティ報告があり、20B を高速で回したい場合は LM Studio + GGUF が現状の最速ルート。「ローカルLLMランタイム比較(Ollama / LM Studio / llama.cpp / vLLM)2026年版」も合わせて。
llama.cpp:2026年3〜4月に FP4 がマージ済みで、Mac / Windows / Linux 横断で動きます。CLI で llama-cli --model gpt-oss-20b.gguf でも、API サーバー llama-server でも使えます。Strix Halo(Vulkan バックエンド)や Mac(Metal バックエンド)はここ経由が安定。
vLLM:本番サーバー寄りの実装。バッチング・KV キャッシュ管理・複数同時接続のスループットが圧倒的で、120B を H100 1枚で複数ユーザーに提供したい用途(社内 ChatGPT 代替など)はこれ一択。vllm serve openai/gpt-oss-120b で動きます。
Hugging Face Transformers:OpenAI 公式の MXFP4 重みをネイティブに読めます。Python から触る研究用途向け。
用途別の構成テンプレ
「自分のケースだとどう組めばいい?」を主要パターンで整理します。
(A) ノート PC で個人用 ChatGPT 代替(20B)
- 機材:MacBook Pro M4 Pro 18GB / M4 Max 36GB+、または Windows ノート + RTX 4070 Mobile / 5070 Mobile(12GB+)
- ランタイム:LM Studio
- 期待 tok/s:30〜70
- 月コスト:電気代のみ。API(gpt-4o-mini / o3-mini)の月額数千円が消える
- 注意:MacBook Pro M4 Pro は 18GB だと OS と他アプリ込みでギリギリ、推奨は 36GB 以上
(B) デスクトップで Q3-mini を超える品質を常用(20B 高速)
- 機材:RTX 5060 Ti 16GB(10万円台)/ RTX 5070 Ti 16GB / RTX 5080 16GB
- ランタイム:LM Studio または vLLM
- 期待 tok/s:250〜500
- 用途:コード生成 agent、長文要約の常用、agentic ループの高速化
- gpt-oss-20B の MXFP4 + Blackwell 第5世代 Tensor Core の組み合わせがハマるレンジ
(C) 自宅で o4-mini 相当を動かす最安ルート(120B)
- 機材:AMD Strix Halo ミニ PC(GMKtec EVO-X2 / Framework Desktop / HP Z2 Mini G1a 等、128GB UMA、$2,000 前後)
- ランタイム:llama.cpp(Vulkan バックエンド)
- 期待 tok/s:30〜46
- 強み:消費電力 100W 級、ファン静か、200万円級の H100 ワークステーションの代替として最も安い
- 弱み:30 tok/s は agent ループにはやや遅め、人が読む対話用途に最適
(D) Mac で 120B を快適に動かす
- 機材:Mac Studio M3 Ultra 256GB(現行最大、約 80万円〜)
- ランタイム:llama.cpp(Metal)または LM Studio
- 期待 tok/s:30〜50
- 強み:帯域 819GB/s、ファン静音、消費電力 200W 級、コンテキスト 128K まで余裕
- 注意:2026年3月に 512GB オプションは撤去済み。詳細は「Apple Silicon の Unified Memory と NVIDIA VRAM の違い 2026年版」
(E) 法人で本格的に 120B を回す(並列・社内 API)
- 機材:RTX PRO 6000 Blackwell 96GB 単機、または H100 80GB(中古 / クラウド)
- ランタイム:vLLM
- 期待 tok/s:50 tok/s × 並列、合計 180〜220 tok/s 帯
- 用途:社内 ChatGPT、複数開発者の coding agent 共有
- 強み:機密データを外に出さずに o4-mini 相当の reasoning が回る
100B 超モデル全体の機材比較は「100B超モデルのGPUベンチマーク 2026年版」、他のモデル(Llama 4 / Qwen 3 / DeepSeek V3.2 等)との選び分けは「ローカルLLM モデル選びガイド 2026年版」が比較対象になります。
ライセンス:Apache 2.0 の意味
gpt-oss は Apache 2.0 ライセンスで公開されています。これは「商用利用可・改変可・再配布可・特許グラント付き」というオープンソース系では最も寛容な部類のライセンスです。
Meta の Llama 4 系(Meta コミュニティライセンス)が「月間アクティブユーザー 7億人超の企業は別途許諾が必要」「Meta のブランディング表示義務」といった制約を持つのに対し、gpt-oss はそうした条件がありません。社内 ChatGPT として再配布、ファインチューニング版の商用配布、組み込み機器への搭載、いずれも法務的に詰まる箇所がほぼ無く、**「OpenAI が初めて、本当に商用利用可能なオープンウェイトを出した」**というのがこのリリースの一番大きな意味です。
ただし OpenAI の利用ポリシー(児童性的搾取・違法行為支援の禁止等)は別途適用される旨が示されているので、商用配布時はその点だけ確認しておくと安全です。
注意点:日本語性能とハルシネーション
OpenAI の公式ベンチでは 120B が o4-mini 相当、20B が o3-mini 相当の reasoning スコアとされていますが、日本語性能は英語より一段落ちるというコミュニティ報告が多いです。Qwen 3 系のような中国語・日本語に強いモデルと比べると、論理推論力では gpt-oss が勝つ場面でも、日本語の自然さや文化文脈の理解では Qwen 3 系の方が好まれるケースがあります。日本語特化用途は「ローカルLLM 日本語性能比較 2026年版」も併読してください。
また 120B は reasoning モデルとして強い反面、事実関係のハルシネーション率は o4-mini と同様に存在します。「reasoning が強い ≠ 知識が正確」なので、事実確認が必要な用途では RAG(検索拡張)を組み合わせるのが定石です。RAG の組み方は「ローカルLLM × RAG / ベクトル DB 比較 2026年版」を参考に。
まとめ
- gpt-oss-20B(16GB VRAM):RTX 5060 Ti / MacBook Pro M4 Pro 級で 30〜500 tok/s。「自宅で o3-mini」が現実解
- gpt-oss-120B(80GB VRAM):H100 / RTX PRO 6000 / Strix Halo / Mac Studio M3 Ultra で 30〜220 tok/s。「自宅で o4-mini」が $2,000〜の Strix Halo から狙える
- MXFP4 ネイティブ:後付け量子化ではなく公式配布が4bit。Blackwell の Tensor Core で速度・効率最大化
- Apache 2.0:商用利用・再配布・改変が法務的にクリア
- 実装は LM Studio + GGUF が現状の最速ルート(Ollama より速いコミュニティ報告あり)。本番サーバーは vLLM
OpenAI が API ビジネスを抱えながらここまで寛容なオープンウェイトを出した理由は OpenAI 内部でも議論があったはずですが、ローカル LLM ユーザー側から見ると「ChatGPT 並みの推論を、月額ゼロで、自宅 PC で、永久に動かせる」選択肢が初めて手に入った、というのが 2026年の素直な現実です。少なくとも 20B は試さない理由が無いレベルになりました。
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