Strix Halo ミニPC 比較 2026:EVO-X2 / GTR9 Pro / BD395i MAX / AI BOX-A395 を価格・128GB・ローカルLLM 70Bで選ぶ
Ryzen AI MAX+ 395 搭載ミニPC の Beelink GTR9 Pro / GMKtec EVO-X2 / Minisforum BD395i MAX / ASRock AI BOX-A395 を、実売価格・64/96/128GB メモリ容量・冷却 TDP・帯域で横並び比較します。結論:70B ローカルLLM を狙うなら 128GB の GTR9 Pro(実売 28〜31 万円)が本命、30B 級までなら 96GB の EVO-X2 がコスパ最良、ベアボード派は BD395i MAX、完成品の手堅さなら AI BOX-A395。
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結論:ローカルLLMで70Bクラスを主目的にするなら、128GBメモリ・140W維持冷却・10GbE×2 を備えた Beelink GTR9 Pro 128GB が2026年6月時点の本命です。30B級までで十分なら96GBの GMKtec EVO-X2 がコスパで有利。Minisforum BD-395 系(BD395i MAX)はベアボーン/拡張性志向、ASRock AI BOX-A395 は手堅い完成品という位置づけ。どの機種も中身は同じ Ryzen AI MAX+ 395 なので、勝負どころは「メモリ容量・冷却で維持できるTDP・I/O・価格」の4点です。
Ryzen AI MAX+ 395(コードネーム Strix Halo)を積んだミニPCが、2026年前半で一気に出揃いました。半年前は「BD395i MAX が出るらしい」という噂レベルだったものが、いまでは GMKtec・Beelink・Minisforum・ASRock が実売モデルを並べ、選ぶ側が「どれを買うか」で迷う段階に入っています。
ただ、各社のスペック表を眺めても中身のSoCは全部同じです。差が出るのは外側、つまりメモリ容量・冷却設計・I/O・価格の組み合わせだけ。私はこの記事で、その4点に絞って機種を横並びにし、「あなたの用途ならどれ」を言い切れるところまで整理します。なお価格は2026年6月初旬の海外発表価格と国内実勢の目安で、為替は1ドル155円換算としています。在庫や為替で動くので、最終判断は各販売ページで確認してください。
まず共通点:Ryzen AI MAX+ 395 というSoCの中身
機種比較の前に、全機種が共有しているチップの素性を1枚に集約します。ここが同じである以上、「どのミニPCを選んでも基本性能は同じ」という前提から話が始まります。
| 項目 | Ryzen AI MAX+ 395(Strix Halo) |
|---|---|
| CPU | Zen 5、16コア32スレッド、最大5.1GHz |
| L3キャッシュ | 64MB |
| GPU | Radeon 8060S、40 CU、RDNA 3.5 |
| NPU | XDNA 2、50 TOPS超 |
| メモリ規格 | LPDDR5X-8000、256-bit幅(オンボード固定) |
| メモリ帯域 | 理論256 GB/s(実効210〜217 GB/s前後) |
| iGPU VRAM割当 | BIOSのUMA設定で最大96GB |
| TDP | 55〜120W(モード可変、筐体冷却が上限を決める) |
ポイントは2つあります。1つはメモリがオンボード固定で後から増設できないこと。だから購入時の容量選択が一生モノになります。もう1つはTDPが筐体の冷却次第で頭打ちになること。同じチップでも、冷却がショボい筐体は120Wを維持できず性能が落ちます。この2点が、これから見る機種差のほぼすべてを生みます。
メモリが「Unified(CPUとGPUで共有)」になっている仕組みと、それがローカルLLMでなぜ効くのかは「AMD Strix Halo の Unified Memory とは:Apple Silicon・NVIDIA VRAM との違い 2026年版」で詳しく扱っています。
機種横並び比較表(2026年6月時点)
主要4機種を1枚に並べます。価格は構成によって幅があるので代表的なメモリ容量で揃えました。
| 機種 | メモリ | 維持TDP(目安) | 主要I/O | 価格目安(円) | 立ち位置 |
|---|---|---|---|---|---|
| Beelink GTR9 Pro | 128GB / 2TB | 約140W | 10GbE×2、USB4、Wi-Fi 7 | 28〜31万 | 本命・拡張I/O最強 |
| GMKtec EVO-X2 | 96GB | 約120W | 2.5GbE、USB4、Wi-Fi 7 | 96GB=約36万 / 128GB=約51万 | 入手性・96GBコスパ |
| Minisforum BD-395系(BD395i MAX) | 128GB(ベアボーン寄り) | 約120〜130W | PCIe x16スロット、2.5GbE、USB4 | 本体40万前後 | 拡張・自作志向 |
| ASRock AI BOX-A395 | 96 / 128GB | 約110〜120W | 2.5GbE、USB4 | 38〜48万 | 完成品・手堅い |
※価格は発表値・実勢の目安。GMKtec EVO-X2 の128GB版は海外定価 $3,299 と高めで、円換算では割高に見えます。一方 Beelink GTR9 Pro は128GB/2TBで $1,899〜1,999 と攻めた価格設定で、コストパフォーマンスの逆転が起きています。
表だけ見ると Beelink GTR9 Pro が「安くて盛り盛り」に見えますが、ここには理由があります。順に見ていきます。
比較軸1:メモリ容量と「動くLLMサイズ」
ローカルLLM目的でStrix Haloを買う人にとって、最重要かつ後戻りできない選択がメモリ容量です。増設できないので、ここをケチると詰みます。
| メモリ容量 | iGPU VRAM割当上限 | 動くモデルの目安 |
|---|---|---|
| 64GB | 約48GB | 30B Q4まで快適、70B Q4は不可 |
| 96GB | 約72GB | 30B Q8、70B Q4がギリギリ(短文コンテキスト前提) |
| 128GB | 約96GB | 70B Q4が余裕、70B Q8や120B級MoEも視野 |
70B Q4_K_M はモデル本体だけで約40〜43GB。これにKVキャッシュ(コンテキスト分)が乗るので、コンテキストを長くとると一気に膨らみます。96GBは「70B Q4が動くが、長文だと苦しい」ライン、128GBは「70B Q4を実用的なコンテキスト長で安定運用できる」ラインです。
私の見立てでは、ローカルLLMが主目的なら迷わず128GB。96GBと128GBの差額は機種によって3〜5万円ですが、後から増やせないことを考えれば安い保険です。逆に「ローカルLLMは8B〜14B程度で十分、メインはゲームや動画編集」という人なら96GBで困りません。VRAM 容量ごとに現実的に動くモデルの目安は ローカルLLM VRAM 容量別・動くモデル早見表 2026年版 に集約しています。
実際に各容量で何 tok/s 出るかは「Ryzen AI MAX+ 395(Strix Halo)ローカルLLM 推論ベンチマーク 2026年版」に実測レンジをまとめています。BIOS の UMA / GTT 設定で iGPU に渡す VRAM の上限を決める手順は Strix Halo VRAM 割当セットアップガイド を参照してください。
比較軸2:冷却で維持できるTDP(ここが体感差を生む)
同じSoCでも、筐体が120Wを維持できるかどうかで持続性能は変わります。短時間のベンチでは速くても、LLMを数分回し続けると熱でクロックが落ちる、という現象が起きます。
- Beelink GTR9 Pro:約140W維持をうたう冷却設計。デュアルファン+大型ヒートシンクで、Strix Halo勢の中でも持続性能に振った構成。長時間のLLM推論やバッチ処理で有利
- GMKtec EVO-X2:120Wクラス。一般用途では十分だが、フル負荷を長時間かけ続けると頭打ちになりやすい
- Minisforum BD-395系:120〜130W想定。ベアボーン的な性格で、ケースや冷却を自分で詰められる余地がある
- ASRock AI BOX-A395:110〜120Wの手堅い設定。突出はしないが安定志向
「140Wを維持できる」というGTR9 Proの数字は、カタログスペックのチップ性能をいちばん引き出しやすい、という意味です。LLMを実運用で回すなら、ここは地味に効きます。冷却に余裕がない筐体は、いわば馬力のあるエンジンを積んだのにラジエーターが追いつかない車のようなもので、しばらく走ると勝手にペースダウンします。
Strix Halo と、同じく「1 機で 70B が載る」DGX Spark(GB10)や Mac Studio との 3 択比較は DGX Spark vs Strix Halo vs Mac Studio 2026年版 にまとめています。「そもそも 128GB Strix Halo と RTX PRO 6000 96GB / RTX 5090 48GB 級の自作構成のどちらを選ぶべきか」で迷う人は 48GB VRAM ローカルLLM デスクトップ構成ガイド 2026年版 と 予算 30 万円で組むローカルLLM デスクトップ 2026年版 を並べて読むと、価格帯ごとの立ち位置がはっきりします。
比較軸3:I/O と拡張性
ミニPCをサーバー的に使う(常時稼働でLLM推論サービスを立てる、NAS連携する)なら、ネットワークと拡張性が効いてきます。
| 機種 | LAN | USB4 / Thunderbolt | 無線 | 拡張スロット |
|---|---|---|---|---|
| Beelink GTR9 Pro | 10GbE×2 | USB4あり | Wi-Fi 7 | M.2複数 |
| GMKtec EVO-X2 | 2.5GbE | USB4あり | Wi-Fi 7 | M.2複数 |
| Minisforum BD-395系 | 2.5GbE | USB4あり | Wi-Fi 7 | PCIe x16スロット |
| ASRock AI BOX-A395 | 2.5GbE | USB4あり | Wi-Fi 6E/7 | M.2 |
GTR9 Proの10GbE×2は、複数台でモデルを分散したりNASから大きなモデルを高速ロードしたりする用途で頭ひとつ抜けています。一方 Minisforum BD-395系のPCIe x16スロットは、外付けGPUを足してハイブリッド構成を組む余地がある点でユニークです。ただしStrix HaloのiGPUとdGPUを賢く使い分けるのはセットアップが面倒なので、万人向けではありません。
USB4とWi-Fi 7はどの機種も押さえているので、ここは差別化要素になりません。
比較軸4:価格と入手性
円換算の目安を改めて整理します(1ドル155円、2026年6月初旬時点)。
| 機種・構成 | 海外価格 | 円換算目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| Beelink GTR9 Pro 128GB/2TB | $1,899〜1,999 | 約29〜31万円 | 128GB勢で最安水準 |
| GMKtec EVO-X2 96GB | $2,349 | 約36万円 | 96GBの定番 |
| GMKtec EVO-X2 128GB | $3,299 | 約51万円 | 128GBでは割高 |
| Minisforum BD-395系 | 構成による | 約40万円前後 | ベアボーン的、国内取り扱いあり |
| ASRock AI BOX-A395 | 構成による | 約38〜48万円 | 完成品で手堅い |
128GBで比べると、Beelink GTR9 Pro(約30万円)と GMKtec EVO-X2 128GB(約51万円)の価格差は約20万円。同じチップでこの差は無視できません。GTR9 Proが本命と書いた最大の理由はここにあります。
ただし、Beelink・GMKtecともに直販・並行輸入が中心で、国内正規サポートの手厚さでは Minisforum や ASRock に分があります。「多少高くても国内サポートと入手性を取る」なら Minisforum BD-395系 / ASRock も合理的な選択です。Aoostar や Sapphire からも Strix Halo搭載の新顔が出始めており、選択肢は今後さらに増える見込みです。
帯域というボトルネック:どれを買っても速度上限は同じ
ここまで機種差を見てきましたが、ローカルLLMの生成速度(tok/s)はどの機種を買ってもほぼ同じです。理由はメモリ帯域が共通だから。Strix Haloの実効帯域は210〜217GB/s前後で、これがトークン生成の上限を決めます。
70B Q4で5〜8 tok/s というレンジは、Beelinkを買おうがGMKtecを買おうが大きくは変わりません。冷却の差で持続性能に多少の優劣は出ますが、「機種を変えれば倍速くなる」ことはない、というのは買う前に知っておくべき現実です。誇張された「爆速ローカルLLM」みたいな宣伝文句は、たいてい prompt processing(プロンプト読み込み)の数字とトークン生成速度を混同しています。
なぜ帯域が速度を決めるのか、容量と帯域のどちらを優先すべきかは「メモリ帯域幅(GB/s)がローカルLLMの tok/sec を決める仕組み 2026年版」で仕組みから解説しています。機種選びの前に読んでおくと、スペック表の見方が変わります。
用途別の最適解
ここまでをまとめて、用途別に言い切ります。
| あなたの用途 | おすすめ |
|---|---|
| 70Bクラスをローカルで本気運用 | Beelink GTR9 Pro 128GB(容量・冷却・価格のバランス最良) |
| 30B級まで+ゲーム/一般用途も兼用 | GMKtec EVO-X2 96GB(96GBコスパ) |
| 外付けGPU追加など拡張で遊びたい | Minisforum BD-395系(PCIe x16) |
| 国内サポート・完成品の安心感重視 | ASRock AI BOX-A395 / Minisforum |
| 常時稼働でLLM推論サーバーを立てる | Beelink GTR9 Pro(10GbE×2、140W維持冷却) |
迷ったら、128GBの Beelink GTR9 Pro を起点に検討するのが失敗しにくい、というのが私の結論です。容量で詰む心配がなく、冷却とI/Oに余裕があり、価格も128GB勢で最安水準。弱点は国内正規サポートの薄さくらいです。
Strix Halo を含めたミニPC全体の選び方(そもそもミニPCでいいのか、フルタワーと比べてどうか)は「ミニPC / SFF(小型)PC 選び方ガイド 2026年版」を先に読むと、機種選び以前の判断が整理できます。
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よくある質問
- Strix Halo(Ryzen AI MAX+ 395)ミニPCは結局どれを買えばいい?
- ローカルLLMで70Bクラスを余裕を持って回したいなら128GBモデル一択で、価格と冷却のバランスから Beelink GTR9 Pro 128GB(実売28〜31万円目安)が現時点の本命です。30B級までで十分なら96GBの GMKtec EVO-X2 がコスパで有利。10GbEや拡張性を重視するなら GTR9 Pro、静音性と入手性なら Minisforum 系、という住み分けになります。
- 96GBモデルと128GBモデルのどちらを選ぶべき?
- 動かすモデル次第です。96GBは30B Q8や70B Q4が「ギリギリ動く」ライン、128GBは70B Q4をコンテキスト長めでも安定して回せます。差額は3〜5万円程度なので、ローカルLLMが主目的なら128GBを強くおすすめします。ゲームや一般用途中心なら96GBで十分です。
- ミニPCのStrix HaloとデスクトップのRTX 5090、どちらがローカルLLM向き?
- 速度最優先ならRTX 5090、容量と省電力ならStrix Haloミニです。Strix Haloは70B Q4で5〜8 tok/sと遅めですが、システム130W前後で70B/120Bが1機に載るのが独自の強みです。詳しくは関連のベンチマーク記事で実測値を解説しています。
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- ASRock AI BOX-A395 は、Ryzen AI MAX+ 395 を搭載する ASRock の完成品ミニPCで、96GB / 128GB のメモリ構成が用意されています。中身の SoC は GMKtec EVO-X2・Beelink GTR9 Pro・Minisforum BD395i MAX と共通ですが、位置づけは「完成品志向・手堅い出荷・国内 PC パーツ大手の販売網に乗せやすい」点が強みです。維持 TDP は 110〜120W とやや控えめで、突出しない代わりに安定志向の設計。GTR9 Pro のような 140W 維持や 10GbE×2 のような尖った I/O はありませんが、完成品として安心して据え置ける手堅さで選ぶ機種です。
- GMKtec EVO-X2 と Beelink GTR9 Pro はどちらを買うべき?
- 70B クラスのローカルLLM を主目的にするなら 128GB の Beelink GTR9 Pro が本命です。GTR9 Pro は 128GB/2TB 構成で実売 28〜31 万円と 128GB 勢で最安水準、維持 TDP も 140W と冷却に振っており、10GbE×2 でネットワーク I/O も強い構成です。一方、30B 級までで十分・96GB でよいなら GMKtec EVO-X2 96GB が実売約 36 万円でコスパ良好。ただし EVO-X2 の 128GB 版は約 51 万円と GTR9 Pro との差が 20 万円ほどあるため、128GB を狙うなら GTR9 Pro の一択に近い状況です。
- Minisforum BD395i MAX ベアボードと完成品ミニPC は結局どちらが得?
- 自分でケースや冷却を詰めたい・PCIe x16 スロットで外付け GPU も足したいなら Minisforum BD-395 系(BD395i MAX 搭載)のベアボード寄り構成が向いています。逆に「箱を開けたら使える保証と即納の安心感」が欲しいなら Beelink GTR9 Pro や ASRock AI BOX-A395 のような完成品ミニPC が合理的です。BD395i MAX は拡張性志向、GTR9 Pro は 128GB コスパと冷却、AI BOX-A395 は手堅い完成品、という住み分けで判断してください。ベアボードと完成品の詳しい比較は [Strix Halo で自作 ITX と BD395i MAX ミニPC を比較する 2026年版](/blog/strix-halo-diy-itx-vs-mini-pc-bd395i-2026/) にまとめています。
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