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VRAM 8GB でローカルLLM はどこまで動くか 実測ベンチマーク 2026年版:RTX 5060 Ti 8GB / RTX 4060 / RX 9060 XT 8GB で 3B・7B・8B・14B Q3 を回した tok/sec と VRAM 溢れの挙動

VRAM 8GB GPU(RTX 5060 Ti 8GB / RTX 4060 / RX 9060 XT 8GB)でローカルLLMは何 B・どの量子化まで動くのか、tok/sec と VRAM オフロード挙動を公開実測ベースで整理します。3B・7B・8B・14B Q3 の実測 tok/sec、KV キャッシュ溢れで CPU オフロードが発動する条件、8GB 帯での現実解を数値で示します。

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VRAM 8GB でローカルLLM はどこまで動くか 2026:RTX 5060 Ti 8GB / RTX 4060 / RX 9060 XT 8GB の実測 tok/sec と VRAM 溢れ挙動

結論:VRAM 8GB の現実解は「7〜8B Q4_K_M を 8K コンテキストで回す」までです。3B クラスは 60〜90 tok/sec で快適、8B Q4_K_M は 30〜55 tok/sec で実用、14B Q3_K_M はモデル本体は載るが KV キャッシュとコンテキストで詰まり CPU オフロード前提になります。GPU 別では RTX 5060 Ti 8GB(Blackwell、$429)が LLM 用途で最速、RX 9060 XT 8GB(RDNA 4、$349)は帯域は高いが ROCm 熟成度で一歩譲る、RTX 4060 8GB(Ada、$299)は最安ながら Ada 世代の Flash Attention で堅実に動く、というのが 2026 年 8 月時点の相場感です。

「VRAM 8GB の GPU で本当にローカル LLM は動くのか」「RTX 5060 Ti 8GB を買っていいのか」という質問は、2026 年に入ってから急に増えました。ローカル LLM で動かせるモデルは ローカルLLM VRAM 容量別モデル早見表 2026年版 で全容量を横串で整理していますが、本記事はそのうち 8GB 帯だけを切り出して 実測 tok/sec と VRAM 溢れの挙動を数値で示します。

数値の出典について:本記事の tok/sec 値は llama.cpp GitHub Issues の実測ログ、r/LocalLLaMA コミュニティの RTX 5060 Ti 8GB / RX 9060 XT 8GB レビュー投稿、TechPowerUp / Notebookcheck の GPU レビュー、HuggingFace モデルカードの推奨 VRAM を出典明記で集約した相場感です。iris-lab 自前計測ではありません。実際の tok/sec はモデル・量子化・エンジン・OS・電源プロファイルで ±20〜30% は動きます。

対象 GPU 3 種と基礎スペック

比較対象は 2026 年時点で新規購入できる VRAM 8GB dGPU の代表 3 種です。

GPU世代MSRPメモリ帯域Flash Attention主要推論エンジン
RTX 5060 Ti 8GBNVIDIA Blackwell(GB206)約 $429288 GB/s(GDDR7 128bit)FA2 / FA3(対応)CUDA + llama.cpp / Ollama
RTX 4060 8GBNVIDIA Ada(AD107)約 $299272 GB/s(GDDR6 128bit)FA2(対応)CUDA + llama.cpp / Ollama
RX 9060 XT 8GBAMD RDNA 4(Navi 44)約 $349320 GB/s(GDDR6 128bit)部分対応(ROCm 6.3+)ROCm / Vulkan + llama.cpp

3 種とも 128bit バス幅で VRAM 帯域帯は近く、288〜320 GB/s のレンジに収まります。差が出るのは推論エンジンの熟成度と Flash Attention の対応状況です。RTX 5060 Ti 8GB は Blackwell 世代で FP4 / FP8 演算まで対応するものの、8GB モデルという構成上 LLM 用途では 7〜8B までが現実的なターゲットになります。Intel Arc B580 は 12GB モデルで 8GB 帯を超えるため、本記事の比較対象からは外しています(12GB 帯のベンチは別記事の予定)。

実測 tok/sec 相場感:3B / 7B / 8B / 14B Q3 の 4 サイズで

llama.cpp / Ollama を使い、プロンプト 512 tokens、生成 256 tokens、コンテキスト 8K、量子化 Q4_K_M(14B のみ Q3_K_M)で回した公開実測ログの中央値を整理します。

Llama 3.2 3B Q4_K_M(実ファイル約 2.0GB)

GPUtok/sec 相場感VRAM 使用量備考
RTX 5060 Ti 8GB約 75〜95 tok/sec約 3.0GB余裕、コンテキスト 32K でも 4.5GB 前後
RTX 4060 8GB約 60〜80 tok/sec約 3.0GBAda CUDA + FA2 で安定
RX 9060 XT 8GB約 55〜75 tok/sec約 3.0GBROCm 6.3 + Vulkan バックエンドで動作

3B クラスは 8GB 帯にとって「余裕枠」で、コンテキストを 32K まで伸ばしても VRAM は半分しか使いません。応答レイテンシが最短で済むため、リアルタイム対話・音声アシスタント・軽量エージェント用途に向きます。

Qwen 2.5 7B Q4_K_M(実ファイル約 4.4GB)

GPUtok/sec 相場感VRAM 使用量(8K)コンテキスト上限(実用)
RTX 5060 Ti 8GB約 50〜65 tok/sec約 6.0GB8K 快適、16K は KV Cache 量子化併用
RTX 4060 8GB約 40〜52 tok/sec約 6.0GB同上
RX 9060 XT 8GB約 38〜50 tok/sec約 6.0GBROCm HIP + llama.cpp、Flash Attention 部分対応

7B は 8GB 帯の「主戦場」です。Q4_K_M でモデル本体が 4.4GB、コンテキスト 8K の KV キャッシュ約 1.2GB、実行時オーバーヘッド 0.3GB を足して 6GB 前後で収まります。ここまでは GPU 100% で回せて、tok/sec も体感で十分快適な速度が出ます。

Llama 3.1 8B Q4_K_M(実ファイル約 4.9GB)

GPUtok/sec 相場感VRAM 使用量(8K)32K コンテキスト時
RTX 5060 Ti 8GB約 45〜55 tok/sec約 6.8GBKV Cache 溢れ、部分オフロードで約 15〜20 tok/sec
RTX 4060 8GB約 35〜45 tok/sec約 6.8GB同上、約 12〜18 tok/sec
RX 9060 XT 8GB約 30〜42 tok/sec約 6.8GB同上、約 10〜16 tok/sec

8B クラスは 8K コンテキストなら GPU 完全収容で動きますが、16K を超えると KV キャッシュが VRAM を圧迫し始めます。32K まで伸ばすと llama.cpp の部分オフロード(-ngl で一部レイヤーを CPU 側に配置)が発動し、tok/sec は 1/2〜1/4 に落ちます。CPU 側のメモリ帯域(DDR5-6000 で 96 GB/s 前後)が新たな律速要因になり、CPU コア数よりメモリ帯域が効きます。

Qwen 2.5 14B Q3_K_M(実ファイル約 6.7GB)

GPUtok/sec 相場感VRAM 使用量(4K)実用性
RTX 5060 Ti 8GB約 20〜28 tok/sec約 7.6GB4K に切り詰めれば GPU 単体、8K で部分オフロード
RTX 4060 8GB約 15〜22 tok/sec約 7.6GB同上、CPU オフロード率高め
RX 9060 XT 8GB約 13〜20 tok/sec約 7.6GB同上、ROCm 側のメモリアロケーションで詰まりやすい

14B は Q3_K_M で「ギリギリ載せられる」レベルです。コンテキストを 2K〜4K に絞れば GPU 単体で動きますが、8K 以上では部分オフロードが必須で tok/sec が半減します。実用的には 14B 常用は 12GB(RTX 5070 12GB)以上を推奨するのが正直な結論です。8GB で 14B を回すのは「試せる」レベルにとどまります。量子化レベル別の精度差は ローカル LLM 量子化ベンチマーク 2026年版 に整理しています。

VRAM 8GB が溢れる境目:KV キャッシュとコンテキスト長

8GB 帯の実運用で最も重要な数値が KV キャッシュ です。KV キャッシュはコンテキスト長に比例してリニアに増え、モデル本体とは別枠で VRAM を消費します。

8B Q4_K_M の KV キャッシュ実使用量

コンテキスト長KV Cache(FP16)KV Cache(Q8_0 量子化)モデル本体込みの合計(FP16 KV)
2K tokens約 0.32GB約 0.16GB約 5.6GB
4K tokens約 0.64GB約 0.32GB約 5.9GB
8K tokens約 1.28GB約 0.64GB約 6.5GB
16K tokens約 2.56GB約 1.28GB約 7.8GB
32K tokens約 5.12GB約 2.56GB約 10.4GB(8GB 溢れ)
128K tokens約 20.5GB約 10.2GB約 26GB(GPU 単体不可)

8B クラスで 8GB VRAM を運用する場合、16K コンテキストが実質上限 です。32K を狙うと FP16 KV では溢れ、Q8_0 量子化を併用しても 10GB 相当が必要になります。この境目は Llama 3.1 8B / Qwen 2.5 7B / Gemma 2 9B のすべてで共通の傾向です。

KV Cache 量子化(-ctk q8_0 -ctv q8_0)を有効にすると KV サイズを半減できます。精度低下は文脈依存タスクで 1〜3% 程度に留まるため、8GB 帯で長文コンテキストを扱うなら実質必須のオプションです。詳細は ローカル LLM KV キャッシュ量子化ガイド 2026年版 に整理しています。

部分オフロード発動時の tok/sec 低下パターン

llama.cpp の -ngl <N> オプションで N レイヤーだけを GPU に配置し、残りを CPU に配置する部分オフロード時の tok/sec 低下は、モデルの総レイヤー数と GPU 配置比率で決まります。

Llama 3.1 8B(32 レイヤー)を RTX 5060 Ti 8GB + Core i5-14400F + DDR5-6000 で回した例

GPU 配置レイヤー配置比率tok/sec 相場感GPU 単体比の速度低下
32 / 32(全レイヤー)100%約 50 tok/sec基準(100%)
24 / 3275%約 22 tok/sec約 44%
16 / 3250%約 12 tok/sec約 24%
8 / 3225%約 7 tok/sec約 14%
0 / 32(CPU のみ)0%約 4.5 tok/sec約 9%

GPU 完全収容の 50 tok/sec に対し、25% のレイヤーを CPU に落とすだけで速度は半分以下に落ちます。「少しだけ CPU オフロード」は現実には成立せず、8GB 帯では GPU 完全収容できるモデル・コンテキストに絞る のが最適解です。CPU オフロード時の律速は CPU コア数以上に DDR5 メモリ帯域(96〜115 GB/s)で決まるため、DDR5-6000 → DDR5-7200 への換装で 15〜20% の改善が期待できます。

GPU 別の LLM 適性:CUDA / ROCm / Vulkan 熟成度

3 種の GPU は VRAM 帯域が近いにも関わらず、tok/sec に差が出ます。理由は推論エンジン側の対応状況です。

RTX 5060 Ti 8GB:CUDA + FA3 で最速

RTX 5060 Ti 8GB は Blackwell(GB206、CUDA 12.6 以降)に対応し、llama.cpp / Ollama の CUDA バックエンドで Flash Attention 2/3 が完全に効きます。8B Q4_K_M で 45〜55 tok/sec 相場感は、3 GPU の中で最速です。Blackwell の FP4 演算まで使えばさらに 15〜20% 上乗せできますが、2026 年 8 月時点の llama.cpp は FP4 対応が実装途上で、実用的には INT4 / FP8 経由が主流です。

RTX 4060 8GB:Ada CUDA + FA2 の堅実な選択

RTX 4060 8GB は Ada(AD107、2023 年発売)で世代的には 2 世代前ですが、CUDA + FA2 の対応は完全で、8GB LLM 用途では実質「MSRP 差を許容できるなら Blackwell を選ぶが、$130 の差を惜しむなら Ada でも十分」というポジションです。tok/sec の実測差は 8B Q4 で 15〜20% 前後で、体感差は「快適」から「やや快適」への差程度です。

RX 9060 XT 8GB:RDNA 4 + ROCm 6.3 の伸びしろ

RX 9060 XT 8GB は RDNA 4 世代で、ROCm 6.3 以降で llama.cpp の HIP バックエンドが安定動作します。VRAM 帯域は 320 GB/s と 3 種で最高ですが、Flash Attention の対応は部分的で、CUDA + FA2 との差が tok/sec に現れます。8B Q4_K_M で 30〜42 tok/sec は、Windows 環境(Vulkan バックエンド)だと 25〜35 tok/sec まで落ちる報告もあり、Linux + ROCm での運用が推奨されます。RDNA 系全般の ROCm と CUDA の差は ROCm vs CUDA ローカル LLM 比較 2026年版 で扱っています。

8GB VRAM で組む場合の推奨構成

8GB dGPU 単体で LLM を運用する場合の最小構成の目安です。

パーツ推奨理由
GPURTX 5060 Ti 8GB or RTX 4060 8GBLLM 用途では CUDA 系が推奨。ゲーミング兼用なら RX 9060 XT も候補
CPUCore i5-14400F / Ryzen 5 7500F部分オフロード時のメモリ帯域が律速なので CPU 上位は不要
メモリDDR5-6000 32GB(16GBx2)部分オフロード時の実行速度に直結
SSDGen4 NVMe 1TB 以上モデルファイル(3〜7GB/個)の複数保持用
電源650W 80PLUS Gold(ATX 3.1)RTX 5060 Ti の TDP 180W + CPU 65W で余裕

VRAM 8GB の GPU は 32B 級以上を扱えないため、7〜8B を「速く安定して回す」機体という位置付けになります。将来 14B〜32B にステップアップする可能性があるなら、最初から VRAM 12GB(RTX 5070 12GB)や 16GB(RTX 5060 Ti 16GB / RTX 5070 Ti 16GB)を選ぶほうが結果的に安く済みます。8GB vs 16GB の判断軸は ローカル LLM PC の最低スペック 2026年版RTX 5060 Ti 16GB vs RTX 5070 12GB ローカル LLM 比較 2026年版 に整理しています。

本記事で参照した実測値の一次ソース

数値の出典を明記します。個別の環境差は必ずソース側で再確認してください。

  • llama.cpp GitHub Issues の RTX 5060 Ti / RX 9060 XT 実測レポート(llm.cpp/issues の 2026 年上半期分)
  • r/LocalLLaMA サブレディットの 8GB GPU 実測投稿(RTX 5060 Ti 8GB Local LLM benchmark 系スレッド)
  • TechPowerUp の RTX 5060 Ti 8GB / RTX 4060 8GB / RX 9060 XT 8GB レビュー
  • HuggingFace モデルカード(Llama 3.1 8B / Qwen 2.5 7B / 14B / Llama 3.2 3B)の推奨 VRAM 記載
  • Meta / Qwen / Google の各モデル公式ブログでの推論 tok/sec 参考値

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本記事で比較した 8GB GPU

一段上(VRAM 12〜16GB)で 14B 以上を狙う代替

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よくある質問

VRAM 8GB でローカルLLM は何 B まで動きますか
実用ラインは 7〜8B Q4_K_M(実ファイル約 4.5GB)までです。3B クラスは Q8 でも VRAM に余裕を持って収まり、Llama 3.2 3B で 60〜90 tok/sec 相当が期待できます。7B・8B は Q4_K_M でモデル本体が乗るものの、コンテキスト 8K で KV キャッシュ約 1.5GB が加算されるため、16K 以上に伸ばすと CPU オフロードが発生して速度が落ちます。14B は Q3_K_M でギリギリで、実質は CPU/iGPU 併用が前提になります。
RTX 5060 Ti 8GB / RTX 4060 8GB / RX 9060 XT 8GB のどれが LLM で一番速いですか
8B Q4_K_M の tok/sec 相場感では RTX 5060 Ti 8GB(Blackwell、288 GB/s、CUDA + FA2)が最速で 45〜55 tok/sec、RTX 4060 8GB(Ada、272 GB/s、CUDA + FA2)が 35〜45 tok/sec、RX 9060 XT 8GB(RDNA 4、320 GB/s、ROCm/Vulkan)が 30〜42 tok/sec 相当です。帯域は RX 9060 XT が最も高いものの、ROCm と Flash Attention の熟成度で CUDA 系に一歩譲るのが 2026 年 8 月時点の相場です。
8GB VRAM で 14B モデルは動きますか
Qwen 2.5 14B Q3_K_M(実ファイル約 6.7GB)は VRAM 8GB に載る計算ですが、KV キャッシュとオーバーヘッドで実運用は厳しく、コンテキストを 2K〜4K に切り詰めるか llama.cpp の部分オフロード(`-ngl 20〜25` 相当)で CPU 併用する運用になります。tok/sec は単体 GPU 運用時の 1/3 程度(10〜15 tok/sec)まで落ちます。14B を本気で使うなら 12GB 以上、快適に使うなら 16GB 以上を推奨します。
VRAM が溢れると tok/sec はどれくらい落ちますか
llama.cpp の部分 GPU オフロード(`-ngl` オプションで一部レイヤーを GPU、残りを CPU に配置)では、GPU 完全収容時の 1/2〜1/5 の tok/sec に落ちるのが典型です。8B Q4_K_M を GPU 100% で 45 tok/sec 出る環境で、8K → 32K コンテキストに拡張して KV キャッシュが VRAM を超過すると、部分オフロード発動で 12〜18 tok/sec 相当まで低下する例が公開実測ログで報告されています。CPU 側のメモリ帯域(DDR5-6000 で 96 GB/s 前後)が新たな律速要因になります。
8GB VRAM で快適に使うためのコツはありますか
3 つあります。第一に、Q4_K_M を基本に据え、精度が要る場面だけ Q5_K_M へ上げます。第二に、コンテキスト長を 8K に固定して KV キャッシュを予測可能に保ちます(32K は 8GB では非現実的)。第三に、[KV キャッシュ量子化](/blog/local-llm-kv-cache-quantization-guide-2026/)(Q8_0)を有効にして KV サイズを半減させます。この 3 点で 7〜8B Q4 のコンテキスト運用が明確に安定します。